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表題写真は2026年7月2日の信濃毎日新聞に載った為替です。1日の段階で円は対ドルで162円を突破。ついでにしばらく184円台だったユーロも下落しています。対ドル、対ユーロともに下落した記録です。では、この下落のきっかけは何だったか。1日の信濃毎日新聞を見てみます。
まずこちら。2面の円下落報道。原因としては、政府が7月に策定する「骨太方針」で、日銀の利上げをけん制すると伝わったことが挙げられていました。「骨太方針」は経済成長を目指すため、金利をあげてもらっては困るという意識が働いているのですね。金利が上昇すれば円とドルの金利差が縮小しますので、ドルを買って円を売る動きを抑えることができるのですが、金利が上がらないとなれば、ドルを買って円を売る流れが止まらず、円を買う人がいないから円が安くなるという単純な仕組みです。

その結果どうなるか。円安といっても、どんどん円の数字は上がっていきます。しかし、この数字は、例えば対ドルであれば、1ドルを買うのにいくらの円がいるかという数字です。円が140円であれば、10ドルのものを買うのに1400円の支払いでした。これが162円となると、1620円払わないと10ドルのものが買えなくなっているわけです。つまり、円が安いと、輸入品がすべて値上がりします。輸出産業にはプラスと言われますが、その輸出品をつくる材料も多くは輸入に頼っていますので、コスト高によって、結局輸出品の値段も上げなければ経営がなりたたなくなります。この記事でも、その点を指摘しています。また、相場を安定させるために買われない円を買う政府の市場介入もありましたが、その効果が吹き飛んでいます。

同じ紙面では、この「骨太方針」に対する記事がありました。6月30日の経済財政諮問会議で、高市政権初の経済財政運営の指針「骨太方針」案が示され、積極財政への方針転換をするとありました。国の借金の健全性を図る指標を変更するという技を使い、財政の悪化が見えにくくされたことで、財政規律が緩むと警告しています。
そして日本成長戦略原案も同日、政府がまとめ、これまた370兆円を投資する一方、成長の足かせと位置付けられた最低賃金の目標達成時期は先送りされたことが、この記事の隣で報じられています。
財政規律が緩むことは、円の発行量が増えることを意味します。経済動向に無関係に通貨の流通量が増えれば、円の価値は下がります。お金は、ただの紙切れや金属の塊です。この価値を保証しているのは、その国の財政であり経済です。一定の価値をもって流通し、安定していれば、それだけ信頼されます。信頼を失えば、円を買う人はいなくなるので、円安が進みます。実は、金利差に加えて、こうした経済と乖離した通貨流通量の政府による操作が進むとみられたことも、円安の大きな要因になっています。

この日の紙面では、骨太方針と円安を合わせて解説する記事もありました。はっきりと「円売り呼ぶ積極財政」の見出しが立っています。そして、この円安はここに中東情勢による、日本経済の悪化という要因も絡めています。つまり、金利差、積極財政、中東情勢に絡む輸入品の価格上昇という、3つの要因が、いずれも円を弱める方向にはたらいているのです。

そして、この記事の隣には、円安と中東情勢による物価上昇の記事があります。6月末時点で飲食料品15,000品目近くが11月までに値上げされたか値上げされる見通しとしていて、このペースでは年間2万品目を2年連続で超える見通しとしています。
また、本日のX(旧Twitter)で、外国から演奏者を招くため、契約書にはユーロ払いでと言われたとありました。円で契約すれば、対ユーロでいくら下落するかわからないから、ユーロで契約してという、円の信用の低下を端的に示すものでした。

新聞は、こうして多層的に記事を載せていて、理解しやすいわけですが、これだけ載せているのは、これが異常な事態、特に政治の責任に帰するところが多いからにほかなりません。
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