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勝ち戦だ!歌え!踊れ!ーを地で行く、日中戦争開戦間もなくのころのレコード会社の新譜宣伝パンフ

 こちら「日本ポリドール販売株式会社」が、1937(昭和12)年9月30日印刷、10月5日に発行した宣伝用の月報です。文庫本ほどの大きさで16㌻あります。日中戦争の発端となった盧溝橋事件が7月7日、第2次上海事変の発生が8月13日。戦線拡大を受け、8月15日に政府は中華民国政府断固膺懲を声明して全面戦争に突入、9月2日に政府は北支事変を支那事変と命名して、戦闘が続けられます。そんな臣民総立ちのようなころに出されたものです。

歩哨の兵士を中心に

 まあ、開いていきますと、当時の盛り上げ振りがよく分かります。蓄音機やレコードには物品特別税が設定され、値上げとなりますが、これも戦争のためなので、献金したつもりでお買い求めをと、調子が良いです。

見開きから、戦争気分全開
「レコードを買えばそのまま献金が出来る」とは時局に合った言い回し

 以下、順にページをめくっていきます。まあ、へたな説明より、各ページをご覧いただくと、そのはしゃぎぶりに加え、わずかな期間によくこれだけ作ったねと思えてきます。

浪花節も軍国調
やはり「君が代」は欠かせません
興奮しきった説明文。裏面は早くも「少年航空兵」
従軍記者、銃後、激戦など、さまざまな角度から次々と

 以下、11月の新譜まとめです。分類に「愛国歌」があります。流行歌も主題歌も戦時ネタです。

 童謡も学校の舞踊曲も、みんな軍国調になっています。

若干普通の歌も入りますが…
吹奏楽、物語り、落語、浪花節と、いずれも軍関係

 さらに、10月5日臨時発表、つまり、この月報印刷間際の情報ですが、ここにも軍歌が勢ぞろい。まあ、このころはすぐ終わるかもしれないと、大乗り気で全力をかけて短期決戦を挑み、精力を注いだのでしょう。これに新聞、雑誌の戦況報道が加われば、意識はだいぶ浮かれたことでしょう。

 そして、あらためて、過去の商品も含めて紹介です。

 最後のページだけ、少し緩いものですが、戦争となればレコード会社も戦争を全面に出し、平時のものはこれぐらいに追いやられるーなにか、戦時下の世相の縮図を見る思いです。

 そして裏表紙も、おおはしゃぎでレコードを戦争に載せて売り込み、ポータブル蓄音機も宣伝しています。レコード作りも大和魂です。

「報国と娯楽の一石二鳥はレコードで!」ー戦時の特別課税を逆手にとって売り込み

 そしてよくみますと、この裏表紙、扱い店のスタンプがあります。店の名前は「甘利」、住所は「ナガノ市後町」とあり、これは現在の長野県長野市の中心市街地の後町を表しています。偶然、長野県の出物との出会いでした。88年前に長野市の店頭に並べられたものが、回りまわって、長野市の中の人の手元に来ました。また、展示会などでご覧いただければいいかなと思います。
 ちなみに、この年は軍需景気で花柳界もほくほくといった感じで、すぐ戦争は片付くだろう、この際やっつけてやれという、見下した気分も絡んで、まさに後先考えなしで緩んでいた、一時のにぎわいでした。

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