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レッドブルの作戦を無力化したピアストリのハードが仕掛けたタイトル戦の鍵:アブダビGP振り返り

MC 仙太郎さん、2025年のF1アブダビGP。最終戦でのタイトル逆転というドラマの可能性があった中、マクラーレンが見事な戦略でランド・ノリスを初のF1王者に導きました。結果だけ見れば、フェルスタッペンが優勝、マクラーレン勢が表彰台独占というシンプルなものでしたが、ここに秘められた戦略戦の全貌を教えていただけますか?

仙太郎 はい、あのレースは結果以上に、マクラーレンとレッドブルの戦略哲学がぶつかり合った、非常に濃密な一戦でした。タイトル逆転の条件は「フェルスタッペンが勝利し、かつノリスが表彰台を逃す」こと。マクラーレンは、このレッドブルが狙ってくるであろう動きを予見して封じたのが最大のポイントです。

MC なるほど。その「予見して封じた」戦略とは具体的にどのようなものだったのでしょうか?

仙太郎 鍵を握ったのは、もう一人のマクラーレンドライバーであるオスカー・ピアストリのハードタイヤスタートです。フェルスタッペンとノリスがミディアムでスタートする中、ピアストリだけがハードを選びました。

MC それは、セーフティカーが出た際にトップに立てる可能性を狙った、いわゆる「保険」の戦略でしょうか?

仙太郎 もちろんその意図もありますが、もう一つの、そしてより重要な狙いがありました。それは、レッドブルの「バックアップ戦法」を無力化することです。

MC レッドブルの「バックアップ戦法」というと?

仙太郎 もしフェルスタッペンがスタートでノリスの前に出た場合、彼はペースを意図的に落として後続を集団で詰まらせ、ノリスを中団に飲み込ませるという戦術を取る可能性がありました。これは過去にもハミルトンが試みたことがある戦法です。

MC ノリスが中団に沈めば、表彰台を逃す可能性が高まるわけですね。

仙太郎 その通りです。しかし、このバックアップ戦法は、ピアストリが2番手に浮上すれば使えなくなるんです。フェルスタッペンが意図的に遅く走り、全車が圧縮した状態で走ると、フェルスタッペンはミディアムスタートなので、ピアストリより早くタイヤ交換します。レース中盤でフェルスタッペンがタイヤ交換すると彼もまた、中団の渋滞に巻き込まれる。

でもピアストリはハードタイヤなので、タイヤ交換のタイミングはもう少し先延ばしできるので、前が開けてクリーンエアで全力走行が可能になる。そうするとピアストリは後続とのギャップを広げた状態でタイヤ交換できるので、ピアストリが優勝する可能性が高くなる。だからフェルスタッペンはタイトルを獲るために、誰かを後ろに抱き込むよりも、レースをリードし続けて勝利を目指さなければならなかったからです。

MC そこで、マクラーレンはスタート直後のバトルをコントロールした、と。

仙太郎 まさに戦略的な連携でした。実際、ピアストリはターン9でノリスを抜いて2番手に浮上しました。アンドレア・ステラ代表も「ピアストリに対してあまり抵抗しないのは戦略の一部だった」と明かしています。マクラーレンの「平等性重視」の姿勢が、今回は柔軟な2台を使った戦略に繋がったと言えます。レッドブルのチーム代表も「彼らのやり方は非常に賢かった」と認めざるを得ない一手でした。

MC 仙太郎さん、戦略だけでなく、ノリスのレース内容も素晴らしかったですね。序盤のルクレールとの攻防は、まさにタイトルをかけた防衛戦でした。

仙太郎 ええ。ノリスはタイトル獲得の最低条件である3位を死守しなければならないプレッシャーの中、序盤の10周にわたってルクレールの猛攻を耐え抜きました。そして、ピット後のトラフィックでの連続オーバーテイクも見事でした。特に印象的だったのは、角田裕毅とのバトルです。

MC 角田はレッドブルの期待通り、ノリスの抑え役、「ディフェンス役」として機能するはずでした。

仙太郎 しかし、ノリスは角田の不規則な防御を全輪コース外に出ながらも突破し、スチュワードもノリスがクリーンに抜けなかったのは角田の動きのせいだと判断してペナルティーは出しませんでした。この局面を乗り越えたことで、ノリスはタイトルへの最終関門を突破したと言えます。

MC 最終スティントでは、ノリスはハードタイヤでルクレール選手の追い上げを許さず、主導権を完全に握りました。

仙太郎 最後のスティントに入る頃には、マクラーレンの戦略的優位は確固たるものになっていました。ノリスがペースをキープするだけで良く、フェルスタッペンに残された望みはセーフティカーによる奇跡だけ。しかし、それは訪れませんでした。ノリスは「自分のやり方でチャンピオンになれた。フェアに戦って、正直なドライバーであり続けようとした」と語っていましたが、まさにその信念と、チームの賢い戦略が栄冠を呼び込んだのです。

MC 4年間F1を支配してきたフェルスタッペンの猛追も凄まじかったですが、最終的にはノリス選手が新たな時代の扉を開きましたね。仙太郎さん、ありがとうございました。

仙太郎 ありがとうございました。

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