脳は,意味が分かると覚えやすい―「なぜ学ぶのか」が,記憶の入口になる
「これはテストに出るから覚えましょう」
そう言えば,
子どもは一時的には覚えるかもしれませんよね
でも,その知識は,
時間がたつと抜けていくことがあります……
脳は,意味が分かると覚えやすい
一方で,子どもが
「なるほど,そういうことか」
「だから必要なんだ」
「前に学んだこととつながっている」
と感じたとき,
学びは残りやすくなります
脳は,意味が分かると覚えやすいのです
記憶は,
ただ頭の中に情報をしまう作業ではありません
新しい情報が,
すでにもっている知識や経験と結びつくことで,
思い出しやすくなります
既有知識が新しい学習の記憶を助けること,
また新しい情報は既有の知識構造と結びつくと記憶されやすいことが,
認知心理学・神経科学のレビューで整理されています
また,
National Academies の How People Learn でも,
教師が子どもの既有知識を生かして,
新しい情報を意味あるものにする重要性が述べられています
たとえば,
歴史の年号だけを覚えるのは大変です
でも,
「なぜその出来事が起きたのか」
「そのあと社会がどう変わったのか」
が,分かると,
年号はただの数字ではなく,
物語の中に位置づきます
これをエピソード記憶とも言います
記憶の接着剤
算数でも同じです
公式だけを覚えるより,
なぜその式になるのか,
どんな場面で使うのかが分かると,
知識は使えるものになるんです
つまり,
意味づけは,
記憶の接着剤のようなものなのです
だから……
授業の導入は,とても大切ということです
「今日はこれをします」
だけで始めるのか
それとも,
「この学習は,前の学びとどうつながるのか」
「生活のどこで使えるのか」
「なぜ,今これを考えるのか」
を子どもに渡し,委ねてから始めるのか
ここで,
子どもの脳の入り方は変わります
子どもが「何のために考えているのか」
もちろん,
すべての学習を面白い話にしなければならない,
ということではありません
教師が無理に盛り上げる必要もありません(笑)
大切なのは,
子どもが「何のために考えているのか」を
見失わないことです
教材研究とは,
単に教える内容を確認することではありません
子どもが,
どこでつまずき,
どの経験とつながり,
どんな意味を見いだせるのかを考えることです
単元デザインとは,
活動を並べることではありません
子どもの中で,
学びがどうつながっていくのかを設計することです
「なぜこれを学ぶのか」
「どこで使うのか」
「前の学びとどうつながるのか」
この問いがあると,
子どもは学びを自分の中に位置づけることができます
意味が分かると,
脳は覚えやすくなります
意味がつながると,
子どもは思い出しやすくなります
意味を自分の言葉で説明できると,
知識は使えるものになります
だから,
教師の語りも,
教材研究も,
単元の流れを考えることも大切です
子どもに覚えさせる前に,意味を渡す
子どもに取り組ませる前に,学びのつながりを見せる
そのひと手間が,
子どもの脳にとって,
学びの入口になるのです
