記録業務95%削減の衝撃! カイポケ×ウェルモ提携が介護ソフト3強の勢力図を塗り替える3つの理由とは?隠れたAI活用の流れ
介護ソフト大手3社のAI戦争、勝敗を分ける「5分の転記」:カイポケ×ウェルモが選んだ逆張り戦略の全貌 ※写真はイメージです
介護ソフト市場のトップ3:ほのぼの、ワイズマン、カイポケ。上位2社がCDIの「SOIN」でAIケアプラン機能をバンドル武装するなか、カイポケはなぜ「ケアプランの頭脳」ではなく「記録の手足」を先に押さえたのか。
2026年3月25日に発表されたエス・エム・エスとウェルモの戦略的パートナーシップの背景、3つのサービスの中身、そして2028年4月の介護情報基盤の全国展開が迫るなかで、介護ソフトの競争軸そのものがどう変わるのかを、制度・市場・現場の3方向から読み解きます。

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ホワイトソックス、村上選手、デビュー戦でホームランですね!!
さて本題です。
夕方6時。訪問を終えて事務所に戻ったケアマネジャーが、パソコンの前で止まります。利用者宅での会話を思い返しながら、支援経過記録を打ち込む。隣のシステムを開いて、同じ内容を転記する。
さらに別の帳票に体裁を整えて貼り付ける。この「書く・移す・整える」に、月140時間を費やしていた事業所があると聴きます。
本来のケアに充てたい時間が、キーボードの上で溶けていく。この構造を壊しにかかった提携が、2026年3月25日に発表されています。
介護ソフト3強の構図と、AIをめぐる先行レース
介護ソフト市場を語るとき、避けて通れない名前が3つあります。NDソフトウェアの「ほのぼのNEXT」、「ワイズマン」、そしてエス・エム・エスの「カイポケ」です。ほのぼのNEXTはシリーズ累計で約72,600事業所、ワイズマンは約61,200事業所、カイポケは2026年1月1日時点で59,300事業所の会員基盤を擁しています。三菱総合研究所の調査結果でも、この3社の導入実績が上位を占めている状況です。
ここ数年、上位2社はAI領域で明確に動いてきました。NDソフトウェアは2019年にCDI(シーディーアイ)と資本業務提携を締結し、2020年にはAIケアプラン作成支援システム「SOIN(そわん)」を搭載した「在宅ケアマネジメント基本システム(AI)」をリリースしています。ワイズマンも2023年10月に、自社の「在宅ケアマネジメント支援システムSP」にSOINを搭載しました。
CDI・NDソフトウェア「SOIN連携」プレスリリース(2020年) ワイズマン「AIケアプラン搭載」リリース(2023年)
SOINは、利用者の状態に関する74項目を入力すると、80%以上の精度で1年後の要介護度変化を予測し、状態像が近い過去事例から改善実績のあるケアプランを提案する仕組みです。2023年8月末時点で有償利用者は12,000人を超えていたと報じられています。さらにChatGPTとの連携機能も追加され、個別の支援内容提案まで踏み込んでいます。
つまり、シェア1位と2位の陣営が「AIでケアプランの質を高める」方向へ揃って舵を切ったことになります。残るカイポケが、同じ土俵に乗るのか、別の土俵を選ぶのか。業界関係者の関心はそこに集まっていました。
カイポケ×ウェルモ、提携の中身と狙い
2026年3月25日、エス・エム・エスとウェルモが戦略的パートナーシップの締結を発表しました。対象は、カイポケを利用する居宅介護支援事業所、訪問介護事業所、訪問看護ステーションなどの在宅介護サービス事業所です。
ウェルモ「戦略的パートナーシップ締結」プレスリリース(2026年3月25日)
連携するサービスは3つあります。
ミルモレコーダー:訪問時の会話を音声で録音し、AIが自動文字起こしと法定記録様式に沿った要約を行います。支援経過記録やサービス担当者会議録など、様式ごとの出力に対応しています
ミルモAI:既存データの読み込みから各種計画書作成、課題分析、報告書作成を自動化します。医療・介護特化のAIがFAXの自動仕分けにも対応しており、非構造化データの処理に強みがあります
ミルモオートメーション:AIが要約・生成したデータを、RPAによってカイポケの指定項目へ自動転記します。パソコンでの入力・確認作業を大幅に減らす仕組みです
注目すべきは、この3つが「入力→変換→格納」という一連の流れを一気通貫でカバーしている点です。
音声で取り込み、AIが文書にし、RPAがシステムに入れる。人間がキーボードに触れる回数そのものを減らす設計になっています。
発表資料には、すでにミルモレコーダーとミルモオートメーションをカイポケと連携して導入した居宅介護支援事業所で、月間140時間かかっていた記録業務の95%を削減できた事例が紹介されています。ただし、すべての事業所で同様の効果を保証するものではないと明記されています。
「何を書くか」ではなく「書く時間を消す」という選択
ここで整理しておきたいのが、ほのぼの・ワイズマン陣営とカイポケ・ウェルモ陣営の戦い方の違いです。
ほのぼの・ワイズマンがSOINと連携して強化しているのは、アセスメント、状態予測、サービスプラン提案といった「ケアプランの見立て」の領域です。ケアマネジャーの思考を支援し、より根拠のあるプランを導き出す方向性と言えます。
カイポケ×ウェルモが今回前面に出したのは、音声記録、要約、帳票作成、自動転記という「記録と事務動線の削減」です。ケアマネジャーの手と時間を取り戻す方向性です。
この違いは小さくありません。在宅系サービスの事業所では、訪問先での会話や観察をいったん頭に留め、事務所に戻ってからパソコンに入力し、所定の様式に整え、別のシステムに転記するという流れが日常です。記録から報告、転記、請求周辺までの一連のプロセスが長いほど、非専門的な入力作業に費やす時間が膨らみます。
ある訪問看護ステーションの管理者は、こう話していました。「看護師がいちばん疲弊するのは、ケアの中身を考えるときではない。考えたことを3回書き直すときだ」。この「3回書き直す」が、現場の体感としてもっとも重い。
エス・エム・エスが独自にAIを一から開発するのではなく、介護領域で実績と専門知見を持つウェルモと組んだことにも合理性があります。カイポケは40以上のサービスを展開する大きなプラットフォームですが、AI・RPA領域の専門性を短期間で補完するには、外部連携が速い。自前主義より実装速度を取った判断だと読めます。
今回概要まとめ図
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