一泊2,980円の温泉宿が高評価を維持できる3つの理由。24時間スーパー・トライアルが仕掛ける『食のショールーム戦略』:『源泉かけ流し温泉』まで手掛ける驚きの経営戦略と5つの勝算とは何か?
「スーパーが温泉宿を運営する意外な理由:トライアルの『ミシュラン旅館』参入に見る、小売業の新しい勝ち筋」 ※写真はイメージです
どーも、セオドアアカデミーです。
スーパーマーケットが温泉旅館を経営する。この脈絡のない組み合わせ。しかし、この"異業種参入"の裏には、小売業の利益構造を根本から変える可能性を秘めた戦略が隠されています。
今回は、九州を中心に展開する24時間スーパー「トライアル」が運営する温泉宿の事例を通じて、なぜ流通小売業が宿泊事業に進出するのか、その意図を多角的に解剖します。
「一泊2,980円」という驚きの価格設定がなぜ成立するのか、そして宿泊事業が小売本業にどう貢献するのか。この問いに答えることで、これからの流通業が生き残るために必要な「事業ポートフォリオの再構築」という視点が見えてきます。


1. トライアルが運営する温泉宿の全容
7施設を展開する「知られざる宿泊事業」
トライアルホールディングスは、グループ会社を通じて現在7つの温泉宿を運営しています。内訳は福岡県3カ所、大分県2カ所、神奈川県2カ所。特に注目すべきは、その価格帯とブランド戦略の二極化です。
運営主体となるのは、トライアルグループの「neri resort株式会社」。ブランドは大きく2つに分かれており、ファミリー層向けのリーズナブルな「虎乃湯(とらのゆ)」シリーズと、ラグジュアリー路線の「久織亭(くおりてい)」があります。後者の「レゾネイトクラブくじゅう」は、ミシュランガイドにも掲載される高級旅館として知られています。
この事業構造が示唆するのは、トライアルが単に「安い宿」を運営しているのではなく、価格帯と顧客層を明確に分けた戦略的なポートフォリオを組んでいるという点です。ディスカウントストアのイメージが強いトライアルが、なぜミシュラン級の高級旅館まで手掛けるのか──。この問いは、後段で詳しく掘り下げます。
象徴的な事例:「ロッジ虎の湯」の驚異的なコストパフォーマンス
大分県九重町にある「ロッジ虎の湯」は、トライアルの宿泊事業を象徴する施設です。阿蘇くじゅう国立公園内という恵まれた立地で、源泉かけ流しの温泉を楽しめるにもかかわらず、一泊素泊まり2,980円から宿泊可能。大浴場に加え、家族風呂が5つ完備されており、プライベート感も確保されています。
この価格設定は、同エリアの競合施設と比較しても破格です。通常、源泉かけ流しの温泉宿は一泊1万円前後が相場。それを3分の1以下に抑えながら、口コミサイトでは高い評価を維持している点が注目されます。
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