株式会社Rehab for JAPAN(リハブ)が向かう先:3,531事業所のその先に、なぜ「がん」という地図を広げたのか
介護ソフトから疾患共生プラットフォームへ:Rehab for JAPANが描く2026年以降の景色
介護現場で広がる科学的介護ソフト「Rehab Cloud」を運営する株式会社Rehab for JAPANが、なぜいま「がん」という領域へ舵を切ったのか。小野薬品工業のCVCからの追加出資、エクササイズ・オンコロジーという考え方、そして高齢化と死因構造の重なりから、同社が向かう次の地平を読み解きます。読み終えたとき、介護DXがもはや介護の中だけの話ではなくなりつつあることが、輪郭をもって見えてくるはずです。

どーも、セオドアアカデミーです。ようやく週末ですね、さて本題です。
朝の通所介護の送迎車に、抗がん剤治療を続けている利用者が乗ってくる。化学療法の翌週は休み、翌々週は短時間で帰る。歩行訓練のメニューは、その日の倦怠感に合わせて静かに組み直される。
担当のセラピストは、検査値の話を聞きながら、足の運びを見ている。
介護現場では、もうずいぶん前から、こうした光景が当たり前のものとして繰り返されてきました。介護と医療は、現場ではすでに溶け合っています。制度のほうが、まだそこに追いついていないだけです。
その制度と現場のあいだに、いま一本、新しい線が引かれようとしています。それが今回の主題。介護リハビリテックの株式会社Rehab for JAPANが、小野薬品工業のCVCである小野デジタルヘルス投資合同会社から、追加出資を受け入れました。資金の使い道は、これまでの主戦場である介護領域の拡大だけではありません。発表によれば、エクササイズ・オンコロジー、つまりがん患者・がんサバイバーへの運動支援を起点とした、新たなヘルスケアサービスプラットフォームの構築です。
介護ソフトの会社が、なぜがんへ向かうのか。 製薬大手のCVCが、なぜ介護リハの会社に資本を入れるのか。 ここには、日本の人口・死亡・治療をめぐる構造の話が、静かに横たわっています。
なぜ「いま」なのか?人口と死因が指し示すもの
まず数字から置きます。
総務省の人口推計では、2026年4月1日現在の日本の総人口は1億2,286万人で、前年同月比54万人の減少。一方で、2025年9月15日現在の65歳以上人口は3,619万人、高齢化率は29.4%と過去最高を更新しました。75歳以上人口は2,124万人、総人口の17.2%を占めます。高齢化は速度を緩めず、すでに「高齢者がいる社会」を超え、「高齢であることを前提にした社会」へと移行しています。
死因の構造も、注視する必要があります。2024年の人口動態統計(確定数)では、死亡数は160万5,378人で、死亡率(人口千対)は13.3。過去最多を更新しました。死因の第1位は悪性新生物、つまりがん。2024年のがんによる死亡は38万4,111人で、全死亡数の23.9%を占めます。1981年から、がんは死因の第1位を譲っていません。
ここに、もうひとつの線を重ねます。生存率の話です。
国立がん研究センターの最新データでは、2024年データに基づくがんの生涯死亡確率は男性24.4%、女性17.2%。一方で、医療の進歩により5年生存率は上昇を続けています。2026年2月に厚生労働省が公表した「2018年全国がん登録5年生存率報告」では、前立腺で92.5%、乳房(女性)で88.4%、子宮頸部で71.4%、大腸で68.0%、胃で64.4%。膵臓のように厳しい部位でも、改善傾向が報告されています。
つまり、がんは依然として最も多くの人の命を奪う病気です。同時に、治療後を長く生きる病気にもなりました。
ここで生まれているのは、新しい問いです。
治療は受けられた。再発もしていない。 ただ、体力が戻らない。 階段が怖い。 仕事に復帰する自信がない。 家事の途中で動けなくなる。
がん治療の成果が、「生きる時間の長さ」として返ってきた瞬間、その時間をどう生きるかが課題になります。薬では届きにくい場所です。診察室では十分に語れない場所でもあります。
今回の追加出資は、まさにその空白地帯に資本と知見を注ぐ動きと読めます。
Rehab for JAPANという企業の現在地
順序として、まずRehab for JAPANという会社の足元を整理しておきます。
同社は2016年6月10日設立、代表取締役は大久保亮氏、本社は東京都千代田区。主力サービスは科学的介護ソフト「Rehab Cloud」です。デイサービスを中心に、機能訓練計画書の作成、記録、LIFE提出、加算算定、請求までを一元的に支える業務基盤として広がってきました。
導入規模の推移を年表のように見ると、変化の速度が見えてきます。
2024年2月時点で累計導入事業所数2,244社。 2025年5月時点で3,000事業所を突破。 2025年9月時点で3,531事業所を突破。
わずか1年半ほどで1,300事業所近い純増です。厚生労働省の2024年介護サービス施設・事業所調査では、通所介護と地域密着型通所介護を合わせるとおよそ4万事業所規模。市場全体から見れば、まだ伸びしろは大きい。一方で、SaaS型の介護記録・計画・請求一体型ソフトとしては、無視できない存在感を持ち始めています。
資金面も確認します。2024年2月、シリーズDエクステンションラウンドとして10億円を追加調達。シリーズD累計21.3億円、創業以来の累計調達額31.3億円。今回の小野デジタルヘルス投資からの追加出資は、その流れの延長線上にあります。
そして、機能の進化です。同社のニュースを時系列で並べると、ソフトの「形」が変わってきていることがわかります。
2024年4月、介護請求ソフト「Rehab Cloud レセプト」提供開始。
2024年10月、レセプトとデイリーが2024年度グッドデザイン賞を受賞。 2025年3月、ポラリスと業務提携、「Rehab Cloud コックピット」共同開発。 2025年8月、経営管理システム「Rehab Cloud コックピット」提供開始。 2025年11月、通所介護モニタリング報告書を自動作成する「モニタリング生成AI β版」リリース。
機能訓練計画書から、記録、請求、経営管理、そして生成AIへ。Rehab Cloudは、リハビリ支援の周辺業務を吸い上げながら、事業所運営そのものを支えるプラットフォームへ姿を変えてきました。
ただ、ここまでは介護の話です。
今回のニュースは、ここから先の話でもあります。
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