面積80%を覆っても、つながる世帯は5割。北海道北見市10万6,753人が「窓拭き」を地域福祉の入口に変える理由
148組織に増えた北海道、19団体が並ぶ北見市。それでも市街地には空白が残る ※写真はイメージです
2027年4月まで、あと。北見市「地域協働まちづくり会議」は町内会の延長では終われない
北海道北見市の地域運営組織「地域協働まちづくり会議」は、北見自治区の面積の80%以上を覆っています。しかし世帯数では約5割です。この差は、農村部で組織をつくる段階から、市街地で接点をつくる段階へと課題が移ったことを示します。単身高齢世帯1万3,815世帯、財政力指数0.44、そして2027年4月に迫る社会福祉法等改正。これらをつなげると、窓拭きボランティアや防災会が、なぜ介護保険の一歩手前で意味を持つのかが見えてきます。読み終えたとき、自分の地域の「入口」がどこにあるのかを確認したくなるはずです。

148という数字は、増えたことより「増やし方」が問われている
総務省の調査によれば、北海道の地域運営組織、いわゆるRMOは、2020年度の約100組織から2025年度には148組織になりました。5年間で約49.5%の増加です。
数の伸びは、たしかに顕著です。ただし、この数字を「地域の力が戻ってきた」と読むのは早い。従来の町内会は役員の高齢化と担い手不足に直面しており、その延長線上で行政や専門職の手が届かない領域を、誰かが引き受けなければならなくなった。RMOはその「間」に現れた運営単位です。
北見市では、これを「地域協働まちづくり会議」と呼びます。おおむね小学校区を単位に、町内会、民生委員、子ども会、PTA、防災会などが連携します。北見自治区では現在19団体が登録され、2026年5月には「高栄西1会」が新たに加わりました。組織化は今も進行中です。
面積80%と世帯5割のあいだ
北見市が公表しているデータのなかで、私がもっとも意味深いと感じたのは次の記述です。地域協働まちづくり会議は北見自治区の面積の80%以上をカバーしている。しかし世帯数ベースでは約5割にとどまる。
この差は、地図上の広がりと、暮らしのなかの接続がずれていることを示します。
農村部・郊外部では、もともと地縁が残っており、組織化しやすい。一方、人口が集中する市街地は、隣人の顔が見えにくく、単身世帯やマンション住まいが多く、防災訓練の回覧板すら届きにくいことがあります。北見市が地域おこし協力隊として「地域協働支援員」を募集し、地域団体への訪問、住民ワークショップ、組織設立、事務局運営を担わせようとしているのは、市街地での接点づくりが次の宿題だと自認しているからでしょう。
つまり、19団体を20、21と増やしていく話ではありません。すでにある19団体が、どこの何丁目の誰と、どの困りごとを介してつながれるかが問われています。
北見市の人口は、単に高齢化しているのではない
北見市の住民基本台帳人口は、2026年6月30日現在で10万6,753人。前年同月から2,279人、世帯数も599世帯が減っています。
介護保険事業報告(2024年度末)では、人口10万9,131人に対して65歳以上が3万8,366人、生産年齢人口は6万157人。高齢化率は35.2%で、北海道33.4%、全国29.4%を上回ります。高齢者1人を、生産年齢人口約1.57人が支える計算です。
ここで注目したいのは、2020年度から2024年度にかけての「減り方」です。総人口は約4.9%減、生産年齢人口は約5.5%減、65歳以上人口は約1.6%減。
高齢者の数は、実は横ばいに近い。しかし、それを支える現役世代と地域活動の担い手のほうが、より速く減っています。
第9期介護保険事業計画では、2040年度の高齢化率を44.4%、75歳以上人口の割合を28.0%と推計しています。将来的には、およそ2人に1人が65歳以上という地域像です。
そして単身高齢世帯は、2023年9月末で1万3,815世帯。全世帯の22.3%です。高齢者2人のみの世帯8,934世帯を加えると、高齢者だけで暮らす世帯は全世帯の36.7%に達します。
単身高齢者が増えて先に膨らむのは、介護保険の給付対象になりにくい生活課題です。電球交換、除雪、外窓の清掃、ゴミ出し、買い物、通院、薬の受け取り、災害時の避難。窓拭きボランティアが担っているのは、まさにこの領域です。
今回概要まとめ図
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