見出し画像

GoogleのAI概要機能がSEOに与える影響 - 4,171キーワード分析から見えた実態

昨今、様々なキーワードでよく見る「AIによる概要」

日本でも2024年8月から正式公開され、検索結果の上部に「AIによる概要」(AI Overview:AIO)が表示されるようになりました。

検索上部に表示される「AIによる概要」

当初は「サイト流入数にはそれほど影響がないだろう」と考えていました。しかし、最近ではAIOを目にする機会が増え、その頻度が高まるにつれて考えが変わりました。

そこで今回は、クレジットカード関連のキーワード4,171個を分析しました。この分析結果とGoogleの方針を踏まえ、AI概要がSEOに与える影響と今後のSEO施策について私の考察をお伝えしたいと思います。

4,171キーワードの分析

AI概要機能の実態を把握するため、クレジットカード関連の4,171個のキーワードについて詳細な調査を実施しました。

クレジットカードに関するキーワード4,171個を調査

各キーワードでGoogle検索し、AI概要の表示有無を確認しました。その結果、予想を上回るAIOの表示数が明らかになりました。

調査キーワード4,171個の「AIO有り/無し」の結果

全4,171キーワードのうち、821個(約20%)でAIによる概要が表示されていました。

特に注目すべき点は、これらの表示がインフォメーションクエリに限定されていないことです。

コンバージョンが期待できる73個のキーワードでも、AIによる概要が表示されていることが確認されました。

AIO有りの821キーワードの検索意図別の個数

具体例を見てみましょう。
「クレジットカードおすすめ会社」「クレジットカードETC付き」「クレジットカード定年後おすすめ」「クレジットカードおすすめ女性年間費無料」といった、購買意図を持つと想定されるキーワードでもAI概要が表示されています。

「クレジットカード etc付き」のAIO

購買調査系のキーワードで73件もの表示が確認されたことです。
これは、コンバージョンに直結する可能性のある重要なキーワードにまで、AIによる概要の影響が及んでいることを示しています。

予想する「ユーザー行動」とは

では、AI概要はユーザーの行動にどのような影響を与えているのでしょうか。

あくまで私の予想ではありますが、AIOがあたえるユーザー行動の影響は、以下のような流れになってくるのではないかと考えられます。(かなりスムーズに行った場合の流れかと思いますが…)

1)ユーザーが「クレジットカード おすすめ」で検索
2)表示されたAI概要をクリック
3)概要を読んで基本情報を理解
4)引用元サイトを確認
5)特定のカードに興味を持ち、そのサイトへ移動

この行動パターンは、従来のSEO施策が想定していた「検索結果から直接サイトへ」というユーザー動線を大きく変えています。

IRから読むGoogle社の方針

2024年10月発表の「Q3 Earnings Call

2024年10月29日に開催されたGoogleの第3四半期決算説明会では、AI概要機能に関する重要な方針が示されました。その内容は、SEO担当者にとって気になる事が含まれていました。

まず展開状況について、新たに100カ国以上でのロールアウトを開始し、月間10億人以上のユーザーにリーチする/している事が発表されました。

説明会では、「非常に高いユーザー満足度を記録している」「全体的な検索利用が増加している」という一般的な報告に加え、「ユーザーがより複雑な質問をするようになった」「より広範なウェブサイトを探索するようになった」という具体的な行動変化も報告されています。

特に注目すべきは、「時間の経過とともに成長が加速している」という指摘です。これは、ユーザーがAI概要の使い方を学習し、より効果的に活用するようになっていることを示唆しています。

・AIOに広告を表示

想定外だったのは、米国モバイル向けにAI概要内での広告表示を開始したという発表です。具体的には、AI概要の上部と下部に広告を表示する試みが始まっています。

これは、AI概要が単なる検索補助機能ではなく、Googleの重要な収益源として位置づけられていることを示しています。

・2025年、よりAIOを強化

Googleは2025年に向けて、以下の開発方針を明らかにしています:

  1. さらなるイノベーションの実施

  2. 品質、信頼性、ユーザー体験の継続的な改善

  3. 現在の課題である表示遅延の改善

特に表示速度の改善は重要です。
現在のAI概要は、通常の検索結果より表示が遅い傾向にありますが、この問題が解決されれば、ユーザーの利用率はさらに上昇する可能性が高いと考えられます。

ユーザーの反応は?

AI概要機能に対するユーザーの反応を詳しく分析してみると、興味深い傾向が見えてきます。

Google検索で「AI概要」を検索すると、「オフ」「消し方」「邪魔」「いらない」といったネガティブなキーワードが関連検索に表示されます。

「AIによる概要」のGoogleサジェスト

実際にTwitter/X上でも「マジでいらない」「不要」といった否定的な意見が見られます。

AI機能に対するX(Twitter)上の反応

一方で、「便利」「わかりやすい」という肯定的な評価も存在します。特に、「複雑な情報をすぐに理解できる」「時間の節約になる」といった具体的なメリットを挙げる声が目立ちます。

この賛否両論の状況は、新機能が普及段階にある典型的な反応パターンと言えます。重要なのは、時間の経過とともに肯定的な評価が増加傾向にあることです。

SEOで避けるべき「不利な場」

これらの状況を踏まえ、SEO担当者は特に以下のような「不利な場」での施策は慎重に検討する必要があります。

第一に、検索結果の上位が大手サイトによって独占されている領域です。例えば、メガバンクのクレジットカードに関するキーワードなどが該当します。これらの領域では、既存の強いドメインパワーを持つサイトを超えることは困難なケースが大半です。

第二に、必要なEEAT(専門性・経験・権威性・信頼性)が不足する分野です。金融商品の解説や医療情報の提供など、専門的な資格や実務経験が重要視される領域では、それらが不足している状態での参入は避けるべきでしょう。

第三に、「1位≠実質的な上位順位枠」にはならないケースです。具体的には以下のような状況が該当します:

  • 検索結果最上部に複数の広告が表示

  • その下にAI概要が配置

  • さらにその下にユニバーサル検索結果(地図、ニュース、動画など)が表示

  • そしてようやくオーガニック検索結果が表示

多くのユニバーサル検索が表示される検索結果

このような状況では、オーガニック検索で1位を獲得しても、実質的な表示位置は画面下部になってしまい、期待するクリック率は得られない可能性が高くなります。

これからのSEO戦略

では、このような状況下で、SEO担当者はどのような戦略を取るべきでしょうか。

あくまでも私の考えではありますが、SERP変化に合わせた考えを記載したいと思います。

・新しいキーワード分析手法

従来のキーワード分析では、検索ボリュームやCPCが主な評価指標でした。しかし、これからは以下の要素も考慮する必要があります:

  • AI概要の表示有無

  • 表示される場合の情報量

  • 引用されているサイトの特徴

  • 実質的な表示位置

キーワードリストに追加した「AIO表示の有無」

例えば、あるキーワードの月間検索数が1万回で魅力的に見えても、AI概要が表示され、そこで十分な情報が提供されている場合、実際のクリック数は減少する可能性もあるかもしれません。

・コンテンツ開発の新しい方向性

AI概要では代替できない、以下のような領域に注力することが重要です:

  1. 独自の実地調査やデータに基づく情報

  2. 専門家の経験や知見に基づく深い洞察

  3. 最新の業界動向や市場分析

  4. 具体的なケーススタディや事例研究

特に重要なのは、「なぜ?」「どのように?」といった深い理解を必要とする情報の提供です。

AI概要は基本的な情報の要約は得意ですが、複雑な文脈や詳細な説明が必要な内容は、まだ十分にカバーできていません。そこに、我々パブリッシャーの期待役割や存在価値があるのかもしれません。

おわりに

AI概要機能の影響は、当初の予想を超えて拡大しています。

4,171キーワードの分析結果では、検索結果の20%近くでAI概要が表示され、その範囲は情報提供系から購買意図の強いキーワードにまで及んでいます。

さらにGoogle社は、この機能の発展に積極的な姿勢を示しており、2025年に向けてさらなる進化が予想されます。

このような状況下で、もしかしたら従来とは異なる新しいアプローチが求められるのかもしれません。

重要なのは、AI概要と競合するのではなく、それを補完する形でユーザーに価値を提供することです。専門性の高い独自コンテンツの開発と、新しい評価指標を加えたキーワード分析を組み合わせることで、この変化に対応していく必要があります。

この変革期を乗り切れるかどうかが、今後のWeb戦略の成否を分けることになると感じました。

この記事は、YouTube動画「AI Overviewsの影響と対策」を文章化したものです。より詳しくは、YouTube動画を御覧ください。

いいなと思ったら応援しよう!