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第5回:進学率85%の罠。奨学金で『未来を売る』前に知るべき、もう一つの選択肢

「大学くらい出てないと」
そう言われる空気って、まだ強い。

でもさ、これ、個人の努力とか根性の話だけじゃなくて、時代の“構造”でそうなってる部分がでかいと思ってる。

今日はその構造を、データで一回ほどいてみる。


1)進学は、30年で「当たり前」になった

まずこれ。

高等教育機関(大学、短大、専門などを含む定義)への進学率は、
1990年は 53.4% → 2025年は 85.4%

昔は「進学する人もしない人も半々」だったのが、今は「進学しない方が少数派」みたいな社会になってる。

つまり何が起きるかというと、

  • 進学しない=“例外”扱いされやすい

  • 周りの目・世間体・親の不安が増幅する

  • 「とりあえず進学」が起きる

ここまでは、わりと想像通りだと思う。
問題は、次。


2)奨学金も「当たり前」になった

進学が当たり前化すると、当然コストが増える。
親世代の給与は上がらなかったため、結果として何が起きたか。それは「奨学金(という名の実質的な借金)」への過度な依存。

JASSO(学生生活調査)で、何らかの奨学金を受給している割合は、
1996年 21.2% → 2022年 55.0%

半分超え。
奨学金が「特別な人の制度」じゃなくて、“標準装備”になってる。

3)僕の場合:大学に行けないというのは、絶望感があった

僕の家は貧乏だった。でも、何とかその環境から抜け出したくて、お小遣いで参考書を買っては、自学で勉強した。

大学に行けなかったら、ずっとこの環境のまま。
それは僕をいい意味でも、悪い意味でも追い込んだ。
でも、周りを見渡せば、予備校に通ったり、私立に行けるからと、僕のように、選択肢が国立か公立しかなく、切羽詰まっている人はあまりいなくて、なんとなくやるせなかった。

結果、大学に行けたのは良かったが、大変なのは奨学金の返済だった。
奨学金が借金だという自覚は、正直なところあまりなかった。
でも、長い間、じわじわと削られながら、僕は未来を担保に、重荷を背負わされたのだと実感することになった。


4)月6万円×4年=卒業時点で240万円(ここからが地味に重い)

ここ、いちばん体感に直結するところ。

仮に 月6万円4年間借りると、
6万円 × 40か月 = 240万円

で、これをもし 15年(180か月)で返すとしたら、

240万円 ÷ 180 ≒ 毎月1.3万円(利息は一旦置く)

1.3万円って、派手じゃない。
でも、派手じゃないからこそ厄介で、ずっと削ってくる。

これ、根性が足りないとかじゃなくて、未来の手取りを先に食べてる構造なんだよね。


5)今、高卒就職は“条件が悪い”どころか、むしろ強い

ここは誤解されやすいから丁寧に言う。

僕は「大学行くな」って話をしたいわけじゃない。
ただ、“進学しかない”みたいな空気が、事実とズレてきてる。

高卒の求人倍率は、
2003年 0.72倍 → 2025年 3.94倍

2003年って、1人に対して仕事が0.72個。選べない。
2025年は、1人に対して仕事が3.94個。選べる。

「世間体で進学」→「奨学金で借金」→「返済で手取りが削れる」
このルートが“当たり前”として流通しすぎてる。

でも現実には、ルートは複数ある。


6)今日のまとめ:これは「個人の弱さ」じゃなくて「構造」だ

ここまでを、いったん構造にするとこう。

  • 進学が当たり前化した(進学圧が上がった)が、給与が増額されていないことから、その負担を吸収しきれない人が増えた

  • 奨学金が標準装備化し、教育のコストが「国や社会による投資」から「個人の借金」へと完全にすり替えられてしまった

  • その結果、数百万円の負債を抱えた状態で22歳から社会人生活をスタートさせなければならない若者が大量に生み出された。

この構造下において、低所得世帯の子供たちは進学そのものを諦めざるを得ないか、あるいは将来の重い負債を覚悟するかの二択を迫られる。

独立行政法人 労働政策研究・研修機構の『ユースフル労働統計 -労働統計加工指標集-』によれば、大卒男性の生涯年収は2.63億円、高卒男性の生涯年収は、2.15億円というデータもある。
大学に行くのは、合理的ではあるけれども、借金で失うものも多い。
(22歳の1万円と、50歳の1万円では価値が違う)

どちらがいいかというのは、とても難しい話だ。
でも、教育コストが個人に重くのしかかっているというのは、事実だ。


7)今日の一手

奨学金は“借りてから考える”と、だいたい総額が膨らむ。
だから今日は、借りる前に上限を固定する。

① 返済できる「月額の上限」を決める(迷ったらこの3択)

  • 1.0万円(安全寄り)

  • 1.3万円(現実ライン)

  • 1.5万円(余裕があるなら)

※ここで大事なのは正解じゃなくて、“上限が決まること”。

② 返済期間を仮に「15年」に置く(180か月)

細かい制度はあとでいい。今日は固定するだけ。

③ 「上限総額」を一発で出す(上限総額=月額×180)

返済上限(月)上限総額(15年)1.0万円180万円1.3万円234万円1.5万円270万円2.0万円360万円

④ スマホのメモに1行だけ残して、共有する

「奨学金は総額 ◯◯万円まで。これを超える進学プランは一回保留」

これで、進学先選びが“気合い”じゃなくて“設計”になる。
(世間体より、生活を守る。)


もし上限を超えそうなら:動かせるレバーは3つだけ

  • 住まい(自宅/下宿/地域)

  • 学校(国公立/私立/学費帯)

  • 借り方(給付・減免・月額を下げる・借りる期間を短くする)

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