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【考察】突然画面を塞ぐ「ポップアップ広告」は現代の「塗壁(ぬりかべ)」か?――電子の壁と、偽りの×(バツ)印

こんにちは。民俗学准教授の東条紗季です。

​深夜、スマートフォンで気になる記事を読んでいる時や、調べ物をしている最中。突然、画面全体が薄暗くなり「期間限定!」「あなただけへの特別オファー!」といった巨大な広告がドカンと表示され、文字が一切読めなくなってしまった経験は誰にでもあるでしょう。

​スクロールしても消えず、元の画面に戻ることも許さないこの強引な「通行止め」。

民俗学的な視点から見ると、この理不尽なデジタル障害物は、かつての日本人が夜道で最も恐れた怪異の一つ、**「塗壁(ぬりかべ)」**と全く同じ性質を持っています。

​1. 視界を奪い、歩みを止める「見えない壁」

​塗壁とは、主に九州地方に伝わる妖怪です。夜道を歩いていると、突然目の前に目に見えない巨大な壁が現れ、前へ進むことができなくなります。右へ避けても左へ避けても壁はどこまでも続いており、旅人の歩み(進行)を完全に物理的にストップさせてしまいます。

​現代のブラウザやアプリにおける「ポップアップ広告(あるいはインタースティシャル広告)」は、まさにこの塗壁です。

目的の情報(目的地)へと視線を走らせているユーザーの目の前に、突如として電子の壁が立ち塞がります。透過された暗い背景(オーバーレイ)によって元の道は遮断され、私たちは情報の夜道で強制的に立ち止まることを余儀なくされます。

​2. 「化かし」のテクニックと偽りの抜け道

​伝承によれば、塗壁に遭遇した際、焦って壁の上の方を棒で叩いても全く効果がありません。塗壁を消し去るには、落ち着いて「足元(壁の下部)」を払わなければならないとされています。つまり、正しい「解除の呪術(弱点)」を知らなければ、永遠に壁に阻まれたままになります。

​現代の塗壁(ポップアップ広告)も、非常に悪質な「化かし」のテクニックを持っています。

広告を消すための「×(閉じる)」ボタンは、驚くほど小さく、背景と同化するような薄い色で描かれています。さらに酷いものになると、広告の画像自体に「偽物の×ボタン」がデザインされており、ユーザーのミスクリックを誘発します。

焦って適当な場所をタップ(上の方を叩く)してしまうと、壁が消えるどころか別の怪しいサイト(異界)へと強制的に転送されてしまうのです。

​3. 広告ブロッカーという「結界」と現代の呪符

​昔の旅人たちは、魔除けの札を持ち歩いたり、真言を唱えたりすることで、こうした夜道の怪異から身を守ろうとしました。

​現代の私たちがこの塗壁に対抗するための最も強力な呪術(お札)が、「広告ブロッカー」と呼ばれる拡張機能やアプリです。

これらを設定することは、ブラウザという自分のテリトリーに強力な「結界」を張る行為に等しく、結界内では塗壁も、追跡してくる妖怪(トラッキング広告)も現れることができません。

しかし、無料で情報を提供しているサイト(村)にとって、広告は重要な収入源(お供え物)でもあります。すべての村で結界を張り巡らせてしまえば、やがて村自体が存続できなくなり、私たちが歩く道そのものが荒れ果ててしまうというジレンマも抱えているのです。

​結論

​インターネットという広大な空間を歩く以上、突然現れる壁(広告)と完全に無縁でいることはできません。

もしあなたの目の前に巨大なポップアップ広告が立ち塞がったら、イライラして画面を連打するのはやめましょう。それは妖怪の思う壺です。

​一度深呼吸をして、画面の隅に隠された小さな「×(バツ)」の文字を冷静に探してください。

現代の怪異を祓うには、力任せの攻撃ではなく、針の穴を通すような正確なタップ(呪術)が必要なのです。

​筆者コメント

​最後まで読んでいただきありがとうございます。

先日、急いで電車の乗り換え時間を調べている時に、画面全体に「あなたのスマホのキャッシュが危険です!」という警告風のポップアップ広告(現代の塗壁)が現れました。

焦って「×」を押したつもりが、見事に偽物のボタンに引っかかり、謎のクリーナーアプリのダウンロード画面に飛ばされました。結局電車には乗り遅れ、一人ホームで「妖怪め……」と呟く怪しい准教授になってしまいました。

​(活動継続のためのサポートのお願い)

この記事が面白かった、あるいは「偽物の×ボタンに騙されたことがある」という方は、ぜひ記事の購入やサポート(投げ銭)をお願いいたします。

皆様からいただいた浄財は、私のスマートフォンに最強の有料広告ブロッカー(強力な結界)を導入するための費用として大切に使わせていただきます。

妖怪の研究を続けるため、温かいご支援を心よりお待ちしております。

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