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「消耗戦の勝者」になりたかったわけじゃない


SNSで、ある箇条書きを見かけた。

それは組織という場所の理不尽さを、
これでもかと冷徹に切り取った言葉の羅列だった。

* 管理職=自分の「時間」の自由を売る行為
* 真面目=都合の良い「便利屋」への片道切符
* 出世=勝者ではなく「消耗戦の勝者」の世界

深く、深く頷かざるを得なかった。

私自身、
かつてはその「消耗戦」の当事者だった。


有給休暇をたくさん残したまま、
休みの日にスマホ越しで会議に参加し、
夜になれば現場へ向かう。

真面目な人間ほど都合よく使われる。

責任感のある人間ほど仕事を抱え込む。

そんな景色を嫌というほど見てきた。

だから私は、あの世界を変えたかった。

その結果として、今の席に座っている。

周囲から見れば昇格なのだろう。

成功したと思う人もいるだろう。

だけど本当のことを言うと、
私は最近になって別の種類の息苦しさを知った。

向けられるのは祝福だけではない。

嫉妬。

羨望。

過度な期待。

値踏みするような視線。

そして、

「本当にできるのか」

という無言の問い。

それらが混ざり合った視線は、
思っていた以上に重い。

周りは私を
「消耗戦を勝ち抜いた勝者」
として見ているのかもしれない。

でも、それは違う。

私は勝ちたかったわけじゃない。

そもそも、そのゲームそのものが嫌だった。

真面目な人が馬鹿を見ることも。

責任感のある人だけが疲弊していくことも。

若い人たちが未来を失っていくことも。

だからルールを変えたかった。

ただ、それだけだった。

けれど現実は、
想像していたよりずっと複雑だ。

相手はAIではない。

感情を持った人間だ。

正しい仕組みを作れば解決するほど、
現実は単純じゃない。

変化への恐怖。

過去の成功体験。

立場やプライド。

積み重なった不信感。

それぞれが絡み合い、 
正論だけでは驚くほど人は動かない。

良かれと思って動くたびに、 
その難しさを思い知らされる。

時々、考えてしまうことがある。

あんなふうに適当に立ち回って、
要領よく生きていれば。

こんな痛みを感じずに済んだのだろうか、と。

だけど、そのたびに思い出す。

笑顔の裏で猛烈にイライラしながら、
理不尽な会議を眺めていた頃の自分を。

辞める覚悟まで決めた、あの頃の自分を。

あの私が望んでいたのは、肩書きじゃない。

権力でもない。

真面目な人が損をしないこと。

頑張ることが搾取の理由にならないこと。

そして、次の世代が同じ景色を見なくて済むこと。

それだけだ。

「消耗戦の勝者」としての拍手なんて、
最初からいらなかった。

欲しかったのは、変わる可能性だった。

相手は人間だ。

だから上手くいかないことばかりだ。

それでも私は、  
あの日掴み取った奇跡の切符を 
握りしめたまま、
今日もこの痛い視線の中に立っている。

ルールの中で勝つためではない。

歪んだルールそのものを書き換えるために。

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凪 現役管理職 ゴーストライター よろしければ応援お願いします! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!

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