30代のキャリアを考える
20代は無我夢中だった。
右も左もわからず、ただ社会の速度に慣れるだけで精一杯。 誰もが同じスタートラインに立ち、目の前のタスクをこなす日々。
そこにいたのは「同期」という名の横並びの仲間たちだ。
30代になる。
ふと、隣を走る「仲間」との間に明確な距離を感じ始める。 これが30代で直面する最初の「差」という現実だ。
ある者はすでに管理職の肩書を得ている。 ある者は専門的な資格を手に、独自の道を歩んでいる。 またある者は会社を飛び出し、新しい場所で活躍している。
20代に撒いた種が、30代で芽吹く。 それは昇進や肩書、あるいは人脈やスキルとして、目に見える形で現れる。 これまでの月日をどう過ごしてきたか。 その行動の結果が、残酷なまでに「差」となって目の前に提示される。
問題はその「差」を目の当たりにした時、自分がどう思うかだ。 これが30代で最も重要な問いだと思う。
素直に賞賛できるか。 あるいは、胸の内にチリチリとした焦りを感じるか。 もし、それが「妬み」や「嫉み」であるなら、自分の進む道を決める岐路に立っている。
一つの道は、その感情を燃料にすることだ。 彼が手に入れたものが自分も欲しい。 そう思うなら、今すぐ走り出せばいい。20代の頃とは違う、明確な目標を持って。 それは立派な生き方の一つだ。
もう一つの道は、「自分は自分」と区切ることだ。 他人の物差しで、自分の価値を測るのをやめる。 自分にとっての幸福が、彼らの幸福と同じとは限らない。 そう受け入れることができれば、何かを手に入れるために躍起になる必要はなくなる。
古代ギリシャの哲学者ソクラテスはこう言った。
Envy is the ulcer of the soul
嫉妬は魂の潰瘍である
この言葉は現代を生きる我々にも深く突き刺さる。
妬みや嫉みは、人間関係を根本から揺るがす。
仕事上の成功や失敗は、所詮、組織の中での出来事だ。 昇進が一年遅れても、命運が尽きるわけではない。 だが、一度こじれた人間関係は修復が恐ろしく難しい。
私は静かに考える。
30代のキャリアで本当に大切なこととは、レースに勝つことだろうか。
違う。
それは自分なりの歩幅を見つけ、自分の心を管理し、他者との健全な関係を維持することだ。
「差」を感じた時こそ、自分の軸足が試されている。 そう思う。
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