ツン9割デレ1割、それでも嬉しいパパ
「ママおちゃちゃちょーだい」
三女がダイニングでコップを持ち上げながら言う。ママは洗い物中、お姉ちゃん達もテレビに夢中だ。
「パパが入れてあげるよ」
そう言ってポットを手に取ると、三女は「いらない」とぷいっと顔を背けた。
「え、なんで?」
「パパや!、ママがいい」
最近こんな感じだ。ママやお姉ちゃん達の言うことは素直に聞くのに、パパが話しかけると無視したり、「やだ」と突き放したりする。
「パパ悲しいなあ」
しょんぼり肩を落とすと、お姉ちゃん達がクスクス笑う。ママも「そのうち落ち着くよ」と慰めてくれるけど、やっぱり寂しい。
夕飯のときも、パパが「おいしい?」と聞いても反応なし。ママやお姉ちゃんが同じことを聞くと、「おちい!」と満面の笑み。
なんだこの差は……。
お風呂の時間になり、三女が「ママ、はいる」と宣言。
「パパと一緒に入ろうよ」
「や!」
またか……と落ち込みながらリビングで待っていると、風呂上がりの三女がタオル姿でトコトコとやってきた。
「パパ、だっこ」
「え?」
思わず聞き返す。さっきまでツンツンしてたのに!?
「だっこちて」
さっきまでの塩対応はどこへやら。急な甘えに心臓がキュンとする。
「はいはい、おいで」
ぎゅっと抱きしめると、三女の体からほんのりシャンプーのいい香りがした。
「パパのだっこ、すき」
その一言で、今日のツンが全部吹き飛ぶ。
パパは結局、振り回されっぱなしだ。
