Montage

グッと一歩手前に
差しだした僕の掌
それを掴んだ
もう片方の人差し指の先で

錆色に軋んだ心を
ゆっくりと
ティー・スプーンで
午後の紅茶を
かき混ぜるように
研ぎ澄まされた感覚を
解きほぐすように
そっと優しく
利き手で
時計回りに回転させると

テーブルの上の砂時計とは
真後ろの方向に
オリフィスの底に
張りついた状態の
顆粒状の砂塵は
下方から上方へ
足元から天井に向かって
みるみるうちに流れていく
渦を巻いて時を駆けていく

過ぎ去った時刻は
予め設定された
タイマーの残り時間とともに
イメージの中にだけある
maxellのカセットテープは
元に巻き戻されていく
それまでの認識が
本来の認識ではなかったかのように

ホテルのロビーに置いてある
油性ペンの嘴(クチバシ)は
Automaticに走りだし
宿泊名簿の余白欄に
僕の本名を
崩した筆記体で書き記して
それまでに味わったことのない
違和感を呼び醒ました

その感情を
電話の着信履歴と
辿ってきた旅の軌跡に
カーボン紙の上から
軽くペンで擦って
たわんだ輪郭線だけを
丁寧に重ね合わせると

現実では
一度も見た事がない
僕には
全く見覚えのない
知らない誰かの顔になった

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