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幸せは、瀬戸内にある。

これまで何度もいろいろなところで書いたり、話したりしているので、知っている人たちは「また同じことを言っている」と、きっと思っていると思う。でも、はじめましての自己紹介のときは、やっぱりいつも見ている風景のことから話してしまう。

瀬戸内に暮らしていると、海や島はとても身近な存在だ。遠くに見えるいくつもの島影や、行き交う船たち。船は移動手段のひとつだけど、窓から見えるのは瀬戸内海。仕事で島に行くときも毎回小さな船旅気分を味わっている。日常のなかにそんな景色や時間があるって、なんて幸せなんだろう、いつも思いながら暮らしてきた。取材で瀬戸内の島々を訪れるようになってからは、島を見るたび、そこに暮らす人たちのことを思うようになって、気がつくと島影という風景のひとつだった島が大切な誰かが暮らす島、待っていてくれる島になっていた。

『せとうちスタイル』は、いつも身近に海があって、島がある。そんな瀬戸内に暮らす幸せを、ひとつのスタイルとして、全国の人々に届けようと、2017年に創刊した。取材エリアは瀬戸内7県(兵庫・岡山・広島・山口・徳島・香川・愛媛)。7県の島々とその沿岸に暮らす人たちの日々の物語を、瀬戸内に暮らす、または瀬戸内にゆかりのある写真家さんやライターさん、イラストレーターさんやデザイナーさんたちと一緒につくっている。つくっているのは本だけど、『せとうちスタイル』が瀬戸内で活躍する写真家やライター、イラストレーターなど、クリエイターにとっての居場所になったらいいなあ、と思ったりもしている。

編集部は香川県高松市にある。屋上からは瀬戸内海と島々が見える。しめきりが近づいて、原稿を書いたり、誌面をチェックしたりする時間が増えると、当たり前だけれど、島に行く時間が少なくなる。そんなときは、屋上に上がって海と島々の風景を眺める。眺めていると、見えている島々はもちろん、屋上からは見えない島に暮らす人たちのことも思い出す。「みかんの収穫ははじまったかな」「古民家の改修は進んでるかな」「そろそろたこ漁の季節だな」なんて、あれこれいろいろなことを思いだす。そして、「あっ、しめきり!」と、あわてて編集部に戻る、という日も少なくない。

瀬戸内の島々とその沿岸にうかがいはじめた頃、何も知らない私に島のことを教えてくれた人たちがいる。当時は瀬戸内国際芸術祭が開催される前で、飲食店や民宿なども少なくて、なかにはそういう場所がない島もあった。そんなとき、「次の船まで休んでいったらいいよ」と言ってくれたお店の人がいた。飲食店がない島では「お昼ご飯食べていきなさい」と言ってくれたお母さんがいた。私がこうしてライフワークのように瀬戸内のことを書き続けているのは、そういう人たちがいてくれたからだと思う。本当にありがとうございます。

noteでは、これからも瀬戸内の島々に暮らす人々の日々に寄り添いながら取材し、そこに暮らす人たちの暮らし方や生き方を通して、瀬戸内に暮らす幸せをお届けしていきたいという決意(ちょっとおおげさに聞こえるけれど)を込めて、これまで瀬戸内を歩くなかで出会ったことを書いていこうと思う。ページの都合などで『せとうちスタイル』の誌面では紹介できなかった物語も書いていきたいと思う。そして、もうひとつ。noteをはじめるそもそものきっかけになった、小豆島から届いた6つのコンテナボックスについても書いていかなければ、と思っている。



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