Photo by
aura
青のグラデーション|風まかせ文芸部
僕が知っていた高校時代の葵の腿の付け根には、青みを帯びた小さなタトゥーが入っていた。
「初めてのタトゥーにしては大胆な色だ」
僕がそういうと、葵は得意げに笑った。
「青み系は譲れないよ」
「俺以外のやつに見せるなよ」
「そんなの約束できないよ」
外では快活でよく笑うのに、僕といる時だけは、感情を剥き出しにして子どもみたいに泣く葵が好きだった。大学に入ってしばらくして、僕たちは別れた。
ついさっき、信号待ちをしている葵を見かけた。3年ぶりに雑踏の中で見た葵は、葵以上どこにもいないオーラを放っていて釘付けになった。
鮮やかな青のグラデーションのノースリーブのワンピース。ばっさり切った薄紫のショートカット
が日差しに透けてふわりとなびいている。
僕は青信号に変わるまで、あの頃の葵を思い出していた。
