歯科衛生士が担う歯周治療の基礎知識と手技[#1](初回無料公開)
<はじめに>
歯科衛生士の皆さんは日々、歯周治療に携わっており、必要な知識と手技は既に身につけているかと思います。しかし、細かい部分を忘れていたり、実は患者さんにはうまく説明できていない、なんてことがよくあります。
この【臨床力アップ】では、セミナーの聴講や自己学習だけでは関連づけて理解するのが難しい内容を、まとめて解説します。
このnoteを、リスキリングの場として活用していただけると幸いです。
はじめに、皆さんが日常的に行っている歯周治療について少しお話しします。
歯周治療の流れについては各医院で独自のルールがあるかと思いますが、日本歯周病学会[歯周治療のガイドライン2022]に示されている標準的な進め方を簡単におさらいします。
また、今回は外科的な治療には触れず、歯科衛生士が主体となって行う歯周基本治療(=非外科的歯周治療)をメインに解説します。
近年、この非外科的歯周治療は、歯科衛生士が行う歯周基本治療におけるSRPを指す言葉として用いられていますので、この点も覚えておいてください。
*歯周治療の標準的な進め方
まず医療面接と歯周検査を行い、それに基づき診断を下します。
診断結果を基に、個々の患者様に合った治療計画を立案し、歯周基本治療へと移行します。
この歯周基本治療とは、歯科衛生士が行うSRP(スケーリング・ルートプレーニング)だけでなく、簡単なう蝕治療や欠損歯に対する暫間義歯の作製など、患者様の口腔内環境を包括的に整える治療全般を指します。
歯周基本治療が完了した後には再評価を行い、必要に応じて歯周外科治療へと進みます。
その後、再度評価を行った上で口腔機能回復治療を実施し、最終的な評価を経て、治癒していればメンテナンス、病状が安定していればSPT(サポーティブペリオドンタルセラピー)へと移行します。
一方で、一箇所でも炎症や出血が残存する場合には、歯周病重症化予防治療に進みます。
多くの医院でこのような流れに沿って歯周治療が進められていることと思います。
このプロセスにおいて極めて重要なのが「診断」です。現在、日本歯周病学会では「ステージ」と「グレード」を用いた分類法で診断を行います。
*歯周病のステージとグレード
診断では、まず歯周病の重症度と複雑度からステージを1から4に分類します。
次に、歯周炎の進行リスク(=現状が将来的にどの程度悪化する可能性があるか)を評価し、グレードをAからCに分類します。
このリスクには、喫煙や糖尿病なども含まれます。また、病原性の高い細菌叢が存在する場合、バイオフィルムが厚く成熟しやすく、歯科衛生士によるデブライドメントだけではコントロールが困難になるため、グレード(進行リスク)が高くなります。
ステージ1および2は、骨吸収が概ね3分の1程度、ポケットが4~5mm程度で、水平的な骨吸収が特徴です。これらの中等度歯周炎は、歯科衛生士が主体となって治癒に導くことが期待される診断です。それ以上のステージになると骨吸収は複雑化し、例えば骨欠損分類における一壁性、二壁性といった垂直的骨吸収が見られます。
歯科衛生士の歯周治療によって炎症のコントロールは可能であっても、垂直的骨吸収が存在する場合、深いポケットにおいて新たな付着を獲得することは非常に困難です。そのため、歯科医師による歯周外科治療の介入が必要となり、骨再生療法や骨形成術などによって、骨を安定させ、炎症のコントロールがしやすい状態を作り出します。
<次回の内容>
本日のnoteはここまでです。
次回は「歯周病のパラダイムシフト」についてお話しします。
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
