「何でもやります」は、最も売れない提案である。
独立したばかりの人ほど、「営業なら何でもできます」と言いがちです。
テレアポもできる。商談もできる。資料も作れる。マネジメントもできる。
能力の説明としては正しい。しかし、商品としては弱い。
なぜなら、買い手が「結局、何を頼めばいいのか」を決めなければならないからです。
選択肢が多いほど、発注は止まる
顧客は、営業の専門家ではありません。
自社の営業がうまくいっていないことは分かっていても、原因がリストなのか、トークなのか、商談なのか、追客なのかまでは分からないことが多い。
そこで「何でも対応できます」と言われても、安心より先に判断の負担が増えます。
一方で、次のように言われれば購入後を想像できます。
「新規開拓が止まっているBtoB企業向けに、対象企業の選定から初回接触、反応の記録、週次改善までを月額で提供します」
能力が増えたわけではありません。入口を一つにしただけです。
商品は、4つの要素で作れる
営業経験を商品にするときは、次の4点を一文にします。
1. 誰に
2. どんな問題を
3. どこまで解決し
4. 何を渡すのか
例えば、こうです。
「代表が営業を兼務している小規模BtoB企業に、新規開拓の初動を代行し、商談候補と改善できる営業データを毎月渡す」
ここまで言えると、顧客は自分が対象かどうかを判断できます。対象外の人が離れることもありますが、それで問題ありません。
商品は、全員に興味を持たれるために作るものではなく、必要な人が早く決められるように作るものです。
狭くするのは、能力ではなく入口
商品を絞ることに抵抗がある人は、「仕事の可能性を捨てることになる」と考えます。
しかし、最初から提供能力のすべてを並べる必要はありません。
入口は新規開拓支援に絞り、契約後に課題が見えたら、提案資料や商談設計へ広げればいい。信頼がない段階では一つの商品を売り、信頼ができてから複数の能力を使います。
これは飲食店と同じです。
初めて入る店の看板に「和食も中華もイタリアンも何でも作れます」と書いてあれば、器用さより不安が勝ちます。
営業支援も同じです。
最初の商品に必要なのは、完成度より境界線
最初から完璧なサービスを作る必要はありません。ただし、境界線だけは必要です。
何を始めるか
何を終わりとするか
何を含めないか
どんな状態なら継続を提案するか
この4つが決まると、見積もり、契約、報告が一気につながります。
反対に、ここが曖昧だと、顧客ごとに作業が変わり、実績が蓄積されません。毎回違う仕事をしているため、いつまでも「自分にしかできない受託」のままです。
「何でもできます」は、自己紹介では使えても、商品名には使えません。
売るために必要なのは、能力を増やすことではなく、買い手が選べる形まで削ることです。
社外売上研究所では、営業力を商品・価格・運用に変えるための実践知を、数字と現場の言葉で公開していきます。
