見出し画像

#484 身近だけど意外と知らない「お盆」って何?

本日8月13日。

お盆休みが始まり、帰省する人も多い時期です。

実家に帰って家族と過ごしたり、お墓参りをしたり、地域のお祭りに参加したり。

私たちにとって「お盆」は、とても身近な日本の夏の風景です。

しかし、

そもそも、お盆とは何のための行事なのでしょうか?

なぜ先祖を迎えるのでしょうか。

なぜ「迎え火」や「送り火」を焚くのでしょうか。

そして、夏祭りで踊る「盆踊り」は、お盆とどのような関係があるのでしょうか。

実はお盆は、仏教に由来する行事が、日本の伝統的な先祖供養や地域文化と結びつきながら発展したものです。

今回は、身近だけれど意外と知らない「お盆」について見ていきます。

お盆の由来は仏教にある

お盆は、正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と呼ばれます。

その由来としてよく知られているのが、仏教の経典である『盂蘭盆経』に登場する、釈迦の弟子・目連(もくれん)の話です。

目連は、亡くなった母親が死後、餓鬼道で苦しんでいることを知ります。

そこで、どうすれば母親を救えるのかを釈迦に尋ねました。

釈迦は、夏の修行を終えた僧侶たちに食事などを施し、その功徳を母親のために回向(えこう)するよう教えたとされています。

目連がその教えに従ったところ、母親は苦しみから救われたというのです。

この物語がお盆の由来として広く知られています。

なぜ8月13日から始まるの?

では、なぜ現在のお盆は8月13日ごろから始まるのでしょうか。

もともとお盆は、旧暦7月15日を中心に行われる行事でした。

ところが、明治時代に新暦が導入されると、地域によってお盆を行う時期に違いが生まれます。

現在でも、7月に行う地域と、8月に行う地域があります。

特に全国的に多いのが、8月13日から15日または16日ごろに行う「月遅れのお盆」です。

そのため、8月13日は多くの地域で「お盆の始まりの日」とされています。

一般的には、

8月13日 迎え盆

8月14・15日 盆の期間

8月16日ごろ 送り盆

という形になります。

ただし、具体的な日程や風習は地域によって異なります。

お盆は日本の伝統文化になった

お盆は仏教に由来する行事ですが、現在の日本のお盆を見てみると、単純な仏教行事だけでは説明できません。

日本では古くから、亡くなった人や祖先を大切にする習慣がありました。

そこに仏教のお盆の考え方が結びつき、長い時間をかけて各地の風習として定着していきました。

その結果、

  • 先祖の霊を迎える

  • お墓参りをする

  • 家に祭壇を設ける

  • 食べ物を供える

  • 迎え火や送り火を焚く

  • 地域で盆踊りを行う

といった、さまざまな習慣が生まれました。

しかも、地域によって内容がかなり違います。

例えば、愛媛県の佐田岬半島では、初盆を迎えた家で新仏を供養する独特の行事が伝承されています。

藁や竹で船を作り、初盆の家の提灯などを乗せて海に流す「オショロブネ」と呼ばれる風習もあります。文化庁の「文化遺産オンライン」でも紹介されています。

つまり、お盆は全国共通の一つの形ではなく、

仏教の行事をもとにしながら、それぞれの地域で独自の文化へと発展した行事

でもあるのです。

具体的にお盆には何をする?

では、一般的なお盆では何をするのでしょうか。

もちろん地域や宗派によって違いがありますが、代表的なものを見てみましょう。

迎え火を焚く

8月13日などのお盆の初日に、家の前などで火を焚きます。

これが迎え火です。

先祖の霊を迎えるための目印とされています。

地域によっては、お墓まで先祖を迎えに行ったり、提灯を使ったりするなど、さまざまな方法があります。

先祖を供養する

お盆の期間には、仏壇や精霊棚などに食べ物や飲み物を供えます。

地域によっては、季節の野菜や果物、故人が好きだったものなどを供えることもあります。

また、ナスやキュウリに割り箸などを刺して動物の形にしたものを飾る風習もあります。

いわゆる精霊馬です。

キュウリを馬、ナスを牛に見立て、

「先祖が馬に乗って早く帰ってきて、牛に乗ってゆっくり帰っていく」

といった意味を込める地域もあります。

ただし、これも全国共通の風習というわけではありません。

お墓参りをする

お盆には、お墓参りをする人も多いでしょう。

墓石を掃除し、花や線香を供え、先祖に手を合わせます。

現代では「お墓参り」という形で定着していますが、これもお盆が日本人の生活に深く入り込んだことを示す風習の一つです。

送り火を焚く

お盆の期間が終わると、迎えた先祖の霊を送り出します。

そのときに焚くのが送り火です。

京都の「五山送り火」も、こうした送り火の一つとして知られています。

「大文字」で有名な五山送り火は、京都の夏を代表する風景となっています。

「盆踊り」は何のために踊る?

お盆といえば、もう一つ忘れてはいけないものがあります。

盆踊りです。

夏祭りの会場で、

太鼓が鳴って、

その周りを大勢の人が輪になって踊る。

これも日本の夏の風景です。

では、なぜ「盆踊り」というのでしょうか。

その背景には、念仏踊りなどの仏教系の芸能があります。

念仏を唱えながら踊る習慣などが、地域の芸能や祭りと結びつき、お盆の時期に行われる「盆踊り」へと発展していったと考えられています。

現在では宗教的な意味を強く意識せず、夏祭りのイベントとして行われることも多くなっています。

しかし、地域によっては現在でも、お盆の時期に亡くなった人を供養する意味を持つ盆踊りが残っています。

盆踊りは単なる「夏祭りのダンス」ではありません。

先祖供養という宗教的な背景を持ちながら、地域の芸能や娯楽として発展してきた文化

なのです。

「お盆休み」は宗教行事なの?

最後に、現代の私たちにとって身近な「お盆休み」についても触れておきましょう。

8月になると、多くの企業で長期休暇が設定されます。

帰省ラッシュが起き、新幹線や高速道路が混雑するのもこの時期です。

しかし、お盆は国民の祝日ではありません。

「お盆休み」という言葉は、全国的なお盆の時期に合わせて企業などが休業することで定着したものです。

つまり、

お盆そのものは宗教・伝統文化に由来する行事であり、お盆休みは現代の社会生活の中で形成された慣習

と考えることができます。

こう考えると、「お盆休みに実家へ帰る」という何気ない行動にも、長い歴史があることが分かります。

おわりに

私たちにとって、お盆はとても身近な存在です。

8月13日になると実家へ帰り、お墓参りをする。

家族で食卓を囲む。

夜には盆踊りや地域のお祭りに参加する。

こうした光景は、日本の夏の風景としてすっかり定着しています。

しかし、そのルーツをたどってみると、

お盆は仏教に由来する行事でした。

『盂蘭盆経』に説かれた目連の物語などを背景として、日本に伝わったお盆は、長い年月の中で日本独自の先祖供養の習慣と結びついていきました。

その結果、

迎え火、送り火、お墓参り、精霊棚、盆踊り

など、地域ごとにさまざまな文化が生まれました。

そして現在では、宗教的な意味を強く意識しない人であっても、

「お盆だから実家に帰る」

「お盆だからお墓参りをする」

という形で、その文化を受け継いでいます。

つまり、お盆とは単なる「夏休み」ではありません。

仏教の教え、先祖を敬う文化、地域の伝統、そして現代の日本人の生活が重なってできた、日本独特の夏の行事

なのです。

8月13日。

今年もお盆が始まります。

いつものように家族で過ごす人も、お墓参りをする人も、仕事で普段と変わらない一日を過ごす人もいるでしょう。

そんな「当たり前のお盆」も、少し歴史を知ってから見てみると、いつもとは違ったものに見えてくるかもしれません。

【目次】

【参考】

いいなと思ったら応援しよう!