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#426 鳥取砂丘ではなぜ「緑化」が問題に?

環境問題と聞くと、多くの人が思い浮かべるのは「砂漠化」ではないでしょうか。

世界各地では森林が失われ、土地が乾燥し、農地が使えなくなる砂漠化が深刻な問題となっています。

そのため、

「緑が増えることは良いこと」

というイメージを持っている人も多いでしょう。

ところが日本には、緑が増えることが問題視されている場所があります。

それが鳥取砂丘です。

実際、鳥取砂丘では長年にわたって「緑化対策」が行われています。

なぜ緑が増えることが問題なのでしょうか。

その背景には、砂丘ならではの事情がありました。

砂漠と砂丘は違う

まず誤解されやすいのが、鳥取砂丘は砂漠ではないということです。

砂漠とは、降水量が極めて少なく、植物がほとんど育たない地域を指します。

有名なサハラ砂漠などはその代表例です。

一方、砂丘は風によって運ばれた砂が積み重なってできた地形です。

鳥取砂丘も、日本海から吹く風と千代川が運んできた砂によって長い年月をかけて形成されました。

つまり、砂漠と砂丘はまったく別のものなのです。

鳥取砂丘は日本海側に位置しているため、実はそれなりに雨が降ります。

そのため、本来は植物が育つ環境なのです。

鳥取砂丘は放っておくと緑になる

鳥取砂丘を初めて見た人の多くは、

「ずっと昔からこの姿だったのだろう」

と思うかもしれません。

しかし実際には、鳥取砂丘の景観は自然の力だけで維持されているわけではありません。

植物は少しでも根付く場所があれば成長します。

草が生えると砂が固定され、さらに別の植物が育ちやすくなります。

その結果、放置すれば少しずつ草原や森林へ近づいていくのです。

実際、過去には鳥取砂丘の広い範囲で雑草が繁茂し、

「砂丘が緑に覆われつつある」

ことが問題になりました。

つまり、鳥取砂丘は何もしなければ砂の世界が失われてしまう可能性があるのです。

緑化が進んだ背景

では、なぜ緑化が進むようになったのでしょうか。

理由はいくつかあります。

まず大きいのが飛砂の減少です。

飛砂とは、風によって砂が運ばれる現象のことです。

かつては強い風によって砂が動き続けていたため、植物が定着しにくい状態が続いていました。

しかし周辺地域の治山事業や防風林の整備が進むと、砂の移動が減少しました。

また、気候条件の変化や人間活動の影響も指摘されています。

その結果、以前よりも植物が育ちやすい環境になったのです。

さらに問題となったのが外来植物です。

鳥取砂丘では、本来の砂丘植物だけでなく、外から持ち込まれた植物も繁殖するようになりました。

外来植物の中には繁殖力が強いものもあり、一度定着すると砂丘特有の景観や生態系を変化させてしまう可能性があります。

そのため鳥取砂丘の緑化対策は、単なる景観維持だけではなく、外来種対策という側面も持っているのです。

なぜ緑化を防ぐのか

ここで疑問に思う人もいるでしょう。

「自然に緑になるなら、そのままで良いのでは?」

確かに一般的な環境保護の考え方からすると、植物が増えること自体は悪いことではありません。

しかし鳥取砂丘の場合、事情が少し異なります。

鳥取砂丘は日本を代表する自然景観であり、多くの観光客が訪れる観光資源だからです。

広大な砂の風景は、日本では非常に珍しい存在です。

もし全面的に草原化してしまえば、私たちがイメージする鳥取砂丘の景観は失われてしまいます。

また、鳥取砂丘は国の天然記念物にも指定されています。

そのため、現在の景観を維持することには文化的・観光的な価値があると考えられているのです。

人の手で守られている砂丘

現在、鳥取県や地元住民、ボランティア団体などが定期的に除草活動を行っています。

実際に砂丘では、

・雑草の抜き取り
・外来植物の除去
・景観維持活動

などが継続的に実施されています。

ただし、鳥取砂丘は国の天然記念物です。

そのため一般的な雑草対策のように大量の除草剤を散布することはできません。

もし薬剤を使用すれば、本来の砂丘植物や生態系にも影響を与える可能性があるからです。

その結果、多くの除草作業は人の手によって行われています。

ボランティアや地域住民が砂丘に入り、一本一本草を抜いているのです。

私たちが観光で目にする広大な砂の風景は、こうした地道な努力によって守られています。

緑化が問題になる珍しい場所

世界では砂漠化が問題になっています。

そのため、

「緑が増えることは良いこと」

と考えるのは自然なことです。

しかし鳥取砂丘では、その常識が当てはまりません。

鳥取砂丘では、そのまま放置すると砂丘らしい景観が失われてしまうのです。

だからこそ鳥取砂丘では、あえて緑化を防ぐ取り組みが続けられています。

私たちは環境問題を考えるとき、

「緑は善、砂は悪」

という単純なイメージを持ちがちですが、自然を守る理由や方法は地域によっては大きく異なるのです。

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