#442 香川県の子どもは1日1時間しかゲームができない?
2020年、全国ニュースで大きな話題になった条例があります。
それが香川県の
「ネット・ゲーム依存症対策条例」
です。
この条例では、
・18歳未満のゲーム利用時間は平日60分まで
・休日は90分まで
・スマートフォンの利用について家庭でルールを決める
などの目安が盛り込まれました。
当時はSNSでも、
「そんなの守れるの?」
「県がゲーム時間まで決めるの?」
と大きな議論になりました。
実際に、
「香川県の子どもは1日1時間しかゲームができない」
と思った人も多かったかもしれません。
しかし、このニュースには地方自治の仕組みを理解するうえで重要なポイントが隠されています。
そもそも、なぜ香川県は独自のルールを作ることができるのでしょうか。
香川県のゲーム条例とは?
正式名称は、
香川県ネット・ゲーム依存症対策条例
です。
2020年4月に施行されました。
条例では、
・18歳未満のゲーム利用時間は平日60分まで
・休日は90分まで
・スマートフォンの利用について家庭でルールを決める
などが盛り込まれています。
ただし、
ゲーム時間を超えたから罰金になる
というわけではありません。
あくまで家庭や学校への指針という位置づけです。
つまり、
「ゲームを1時間以上したら違法」
という意味ではないのです。
この条例については、制定後に違憲性を争う裁判も起こされました。
しかし2022年、高松地方裁判所は原告の訴えを退け、条例そのものを違憲とは認めませんでした。
もっとも、裁判所が
「ゲームは1日1時間でなければならない」
と判断したわけではありません。
あくまで条例が直ちに憲法違反とは言えないという判断でした。
そもそも条例とは何か
条例とは、
地方自治体が独自に定めるルール
のことです。
国会が作る法律とは異なり、
都道府県や市町村の議会が制定します。
日本国憲法第94条では、
地方公共団体に条例制定権が認められています。
つまり、
地方自治体は法律の範囲内で独自のルールを作れる
のです。
なぜ地方自治体にそんな権限があるのか
理由は地域ごとに事情が違うからです。
例えば、
・雪が多い地域
・観光客が多い地域
・人口減少が進む地域
では、抱えている課題が異なります。
全国一律のルールだけでは対応できないこともあります。
そこで多くの民主主義国家では、
「地方自治」
という仕組みが採用されています。
地方のことは地方で決める。
これが地方自治の基本的な考え方です。
そのため自治体には条例を作る権限が与えられているのです。
何でも自由に決められるわけではない
ただし、条例には限界があります。
地方自治体は法律より上のルールを作ることはできません。
例えば、
「香川県では20歳未満も飲酒OK」
という条例は作れません。
飲酒年齢は法律で定められているからです。
つまり、
法律 > 条例
という関係になっています。
条例は法律の範囲内でしか制定できないのです。
実は身近にもたくさんある条例
ゲーム条例だけが特別な存在ではありません。
私たちの身近には多くの条例があります。
例えば東京都では、
自転車保険への加入が義務化
されています。
ただし、保険に加入していなくても直ちに罰金が科されるわけではありません。
義務ではありますが、罰則は設けられていません。
また、多くの自治体では、
ポイ捨て禁止条例
が定められています。
こちらは自治体によって異なりますが、罰金などの過料が設けられている地域もあります。
中学生にとって身近なものだと、
・夜間の公園利用に関するルール
・自転車の安全利用ルール
・歩きスマホに関する条例
・SNS利用に関する啓発条例
などもあります。
普段は意識していなくても、私たちは条例の中で生活しているのです。
ゲーム条例から見える地方自治
香川県のゲーム条例は、
賛成・反対の両方の意見を集めました。
しかし、この条例が全国的に話題になった理由は、
ゲームの是非だけではありません。
地方自治体が独自のルールを作れる
という仕組みが多くの人に知られるきっかけになったからです。
日本では国がすべてを決めているわけではありません。
都道府県や市町村も、自分たちの地域の課題に応じてルールを作っています。
香川県のゲーム条例をきっかけに、
「条例とは何か」
を考えてみると、地方自治の仕組みが少し身近に感じられるかもしれません。
あなたの住んでいる自治体にも、意外な条例があるかもしれません。
私たちの生活は、法律だけでなく、地域ごとの条例によっても支えられているのです。
【目次】
