#455 「年金は本当にもらえなくなる」のか?
「私たちが老後を迎える頃には、年金なんてもらえなくなっている。」
そんな話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
少子高齢化が進み、現役世代は減少。高齢者は増加。
将来への不安から、
「払うだけ損なのでは?」
「NISAで運用した方が得では?」
と考える人も少なくありません。
しかし、本当に日本の年金制度はなくなってしまうのでしょうか。
今回は、
「年金は本当にもらえなくなるのか?」
という疑問について、制度の仕組みから考えてみたいと思います。
「もらえなくなる」と「減る」は別の話
最初に結論を言うと、
現在の制度が続く限り、
年金がゼロになる可能性は極めて低いと考えられています。
一方で、
将来の年金額が今より少なくなる可能性はあります。
つまり、
「もらえなくなる」
のではなく、
「給付水準が下がるかもしれない」
というのが、より正確な表現です。
この2つは似ているようで、まったく違う話です。
日本の年金は「積立方式」ではない
多くの人は、
「自分が払った保険料を将来受け取る」
と思っているかもしれません。
しかし、日本の公的年金は基本的に、
賦課方式(ふかほうしき)
を採用しています。
賦課方式とは、
現役世代が支払った保険料を、その時の高齢者への年金給付に充てる仕組みです。
つまり、
今の高齢者の年金は、今の現役世代が支えています。
そして将来は、
次の世代が私たちを支えることになります。
少子高齢化によって不安視されるのは、
この支える側が減っているからです。
なぜ「払うだけ損」と言われるのか?
年金への不信感が広がる最大の理由は、少子高齢化です。
現役世代が減り、高齢者が増えれば、
1人あたりの負担は重くなります。
そのため、
「自分たちが高齢者になる頃には制度が維持できないのではないか」
と不安に感じる人が増えています。
また、
「払った保険料より受け取る金額の方が少ないのではないか」
という疑問を持つ人もいます。
特に若い世代ほど、
将来への不透明感が強く、
「それなら自分で資産運用した方がいい」
と考えやすいのです。
年金は投資と比べると不利なのか?
NISAやiDeCoが普及したことで、
「自分で運用した方が増える」
という意見も増えました。
たしかに、長期間にわたって資産運用が成功すれば、公的年金より大きな資産を築ける可能性はあります。
しかし、
年金は投資商品ではありません。
年金の本質は、
「長生き」というリスクに備える保険
です。
例えば、
100歳まで生きた場合でも、公的年金は原則として生涯受け取ることができます。
どれだけ長生きしても、自分で資産を取り崩す必要はありません。
これは民間の金融商品にはない大きな特徴です。
年金には「保険」の機能がある
さらに、公的年金には老齢年金だけでなく、
・障害年金
・遺族年金
も含まれています。
病気や事故で働けなくなった場合。
一家の大黒柱を失った場合。
そうした人生のリスクにも備えられる仕組みになっています。
つまり、
年金は単なる積立制度ではなく、
人生全体のリスクに備える社会保険なのです。
少子高齢化に対して何もしていないわけではない
もちろん、少子高齢化の問題を放置しているわけではありません。
日本の年金制度には、
マクロ経済スライド
という仕組みが導入されています。
これは、
少子高齢化や平均寿命の伸びに合わせて、年金額の伸びを緩やかに抑える制度です。
簡単に言えば、
物価や賃金が上昇しても、年金額はそれより少し低いペースで増やす仕組みです。
こうした調整によって、
制度全体のバランスを保とうとしているのです。
つまり、
「年金が突然なくなる」
のではなく、
少しずつ制度を見直しながら維持しているのです。
年金だけに頼らない時代へ
だからといって、
「年金だけあれば安心」
という時代でもありません。
将来受け取る年金だけで、今と同じ生活水準を維持できるとは限りません。
そのため、
・NISA
・iDeCo
・企業年金
・個人の貯蓄
など、
公的年金以外の備えを考える人も増えています。
重要なのは、
年金か投資か
という二択で考えないことです。
公的年金を土台にして、
資産運用や貯蓄で不足分を補う。
そうした考え方が必要になってきています。
年金は「なくなる」より「変わり続ける」
「年金は本当にもらえなくなるのか?」
という疑問に対する答えは、
おそらく
「なくならないが、変わり続ける」
です。
日本の年金制度は、
少子高齢化に合わせて何度も見直されてきました。
そしてこれからも、
社会の変化に合わせて調整が続いていくでしょう。
大切なのは、
「どうせもらえない」
と諦めることではありません。
年金がどのような仕組みで成り立っているのか。
将来どのような課題があるのか。
それを知った上で、
自分自身の老後について考えることが必要なのかもしれません。
【目次】
