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#427 なぜ日本では離婚届だけで離婚できる?

「配偶者が勝手に離婚届を出してしまった――」
そんな外国人の相談が相次いでいる…

こんなニュースを見て驚いた人もいるかもしれません。

実際、日本では配偶者が無断で離婚届を提出し、後になってトラブルになるケースが報じられることがあります。

しかし海外の人が驚くのは、

「離婚届だけで離婚できること」

という部分です。

日本人にとっては離婚届は当たり前の制度ですが、世界的に見るとかなり珍しい仕組みなのです。

では、なぜ日本では離婚届を提出するだけで離婚できるのでしょうか。

日本の離婚の約9割は「協議離婚」

まず、日本には大きく分けて3種類の離婚があります。

  • 協議離婚

  • 調停離婚

  • 裁判離婚

このうち圧倒的に多いのが協議離婚です。

夫婦が離婚に合意し、離婚届を市区町村へ提出するだけで成立します。

厚生労働省の人口動態統計や司法統計によると、日本の離婚の約85〜90%は協議離婚です。

つまり日本では、多くの夫婦が裁判所を利用せずに離婚しているのです。

私たちにとってはごく普通のことですが、実はこれが世界的には珍しい仕組みです。

世界では裁判所が関わる国が多い

例えば欧米諸国では、

  • 裁判所の確認

  • 行政機関での審査

  • 当事者双方の出頭

などが必要になる場合が少なくありません。

離婚は夫婦だけの問題ではなく、

  • 財産分与

  • 子どもの親権

  • 養育費

などにも大きく関わります。

そのため、

「本当に双方が納得しているのか」

を第三者が確認する仕組みになっている国が多いのです。

一方、日本では夫婦が合意していれば離婚届を提出するだけで離婚できます。

そのため家族法の研究者の中には、

「日本は世界でも離婚しやすい国の一つ」

と指摘する人もいます。

なぜ日本はこんな制度になったのか

なぜ日本は世界でも珍しい制度を採用しているのでしょうか。

背景には、日本の家族観と法制度の歴史があります。

江戸時代の日本では、「家(いえ)」という考え方が強く、結婚や離婚も家の問題として扱われていました。

そのため、夫婦関係の解消についても、まず当事者や家族の話し合いによって決めるという慣習が存在していました。

明治時代に近代的な戸籍制度や民法が整備された後も、この考え方は引き継がれます。

一方、海外、とくにヨーロッパなどキリスト教の影響を受けた地域では、結婚は社会的・宗教的に重要な制度と考えられ、離婚には教会や国家が関与する仕組みが発達しました。

こうして多くの国で裁判所や行政機関が離婚を確認する制度が定着したのに対し、日本では夫婦の合意を重視する協議離婚が維持されたのです。

簡単だからこその問題もある

もちろん、この制度にはメリットがあります。

夫婦双方が納得している場合、

  • 時間がかからない

  • 費用が少ない

  • 裁判所へ行かなくてよい

という利点があります。

一方で、

  • 署名の偽造

  • 内容を理解しないまま署名

  • 勝手な提出

といったトラブルも起こります。

冒頭で紹介したような、

「勝手に離婚届を出されていた」

という問題が発生するのも、そのためです。

「不受理申出」という制度がある

こうしたトラブルを防ぐため、日本には

「離婚届不受理申出」

という制度があります。

事前に市区町村へ申し出ておけば、相手が勝手に離婚届を提出しても受理されません。

しかし、この制度自体を知らない人も少なくありません。

特に国際結婚の場合には、

  • 在留資格

  • 子どもの親権

  • 面会交流

などの問題が絡み、深刻なトラブルになることもあります。

当たり前だと思っていた制度は世界では少数派

日本人にとって離婚届はごく当たり前の存在です。

しかし世界的に見ると、

「夫婦が署名した紙を役所へ提出するだけで離婚できる」

という制度は決して一般的ではありません。

私たちは普段、

「離婚届を出す」

と言います。

しかし国によっては、

「裁判所で離婚する」

という感覚の方が当たり前なのです。

身近な制度ほど、それが世界でも普通だと思いがちです。

離婚届もまた、日本社会の歴史や価値観が色濃く反映された制度の一つなのかもしれません。

【目次】

【参考】


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