【将棋】小山怜央四段の何が凄いのか
今日も将棋の話題です。興味のない方はほんと、すみません。
昨日、以下のニュースが一斉に放送・配信されました。NHKなどでも紹介されていたので、どこかで目にした人もいるかと思います。
将棋界にとって非常に画期的なことであり、だからこそ全国のニュース等で紹介されました。僕としても小山怜央四段の動向は常にチェックしており、この日が来るのを待ち遠しくしておりました。
ただ、将棋のことをよくわからない友人から、いまいち小山さんの凄さがわからんとの質問を受けました。
確かに、見出しとなる「将棋の小山怜央四段 フリークラスから順位戦C級2組昇級へ 戦後初の奨励会未経験棋士」という部分は、将棋を知らない人たちにとっては、情報量が多いわりに、その凄さが今一つピンとこないものにはなっています。
そこで僕が「草野球からプロ入りして、ついに一軍に昇格した感じ」と戻したところ、「なるほどそれは異例だ」というご納得をいただきました。
この例えには賛否があるかもしれませんが、小山四段はプロ棋士の登竜門である「奨励会」を一切経験していないので、野球でいうところの、高校球児だった経験のない選手に近いのではと考えました。
小山さんは、正規の野球部には一度も所属せずに、野球サークルとか草野球をベースに、徹底した自主練などで実力を身につけて、プロ野球の選手登用試験を通過したような方なのです。
そして今回のニュースの肝は、「プロ入りしてついに一軍登録された」という部分になります。
そうなると、「はて、将棋の棋士にとっての一軍とは何か?」ということになってくると思うので、その点を解説させていただきます。
将棋界において、棋士たちをランク分けする方法の一つに、名人を頂点としたピラミッド型の「順位戦」クラスに組み込む方法があります。
順位戦のクラスは大きく5つに分かれており、それぞれリーグ戦で戦います。最上位層には、名人に挑戦する権利を得ることができるA級があります。
ここには10人しか所属できず、A級棋士は一つのステイタスとなっています。A級の下にはB級1組があり、さらにその下にB級2組、C級1組、C級2組と続いていきます。
順位戦の仕組みは、サッカーでいうところのJリーグ(J1、J2、J3、JFL・・)と似ています。サッカー同様、毎年各クラスの上位と下位の入れ替えが行われていくことになります。
小山四段はプロ編入試験に合格してプロ棋士となったものの、この順位戦においては、C級2組(C2)のさらに下位に位置づけられる「フリークラス」に所属となっておりました。
フリークラス所属者は、自分からフリークラス宣言をした人を除いて、最長で10年しか居座ることができません。10年過ぎると何と強制引退の憂き目にあってしまうのです。
よって、プロになったとはいえ、小山さんはそのままでは10年後には即引退という可能性があったのです。
このフリークラスを抜けて、順位戦のC2クラスに所属するためには、いくつかある昇級規定のどれかをクリアしなくてはなりません。結構厳しい条件ばかりなのですが、今回小山さんは、「直近の対局30局で勝率6割5分以上」という条件を突破しました。
この6割5分という数字がなかなか絶妙で、ざっくり20勝10敗の成績を残す必要があります。強豪ひしめくプロ棋士同士のガチンコ対局の中で、2勝1敗ペースを30局も続けるのは本当に難しいことです。
C2クラスの棋士がフリークラスへと降級することもあるのですが、そのまま10年間順位戦に戻れぬまま引退する棋士は、毎年のようにいらっしゃいます。
今回小山さんのインタビューを読んでいると、「プロになってから1年半。昇級できなければ引退という気持ちだったので、凄く長かった」という発言がありました。
実際には1年半でフリークラスを脱出されるのは十分に早いことなのですが、いかに日々プレッシャーを感じながら対局に臨んでいたことが伺えます。
小山さんは来期から順位戦に参加することになり、対局料収入も安定します。さらに、順位戦のC2クラスはどんなに成績が悪くても、最低3年間はフリークラスには戻りません。ようやく、ここからが、本当の小山さんのプロ棋士生活が始まっていくものと思います。
今後も棋譜を追いかけて、小山さんを応援していきたいと考えております。
さて、もう一つは、我らが中年の星、羽生善治九段の活躍について。
数日前に羽生さんについて大いに語らせてもらったのですが、
本日も中二日で対局がありまして、見事に勝利されました!
相手は、先ほど説明した順位戦ピラミッドの最上位層・A級棋士の一人である菅井竜也八段。ここ一年で、二度も藤井さんとのタイトル戦に挑んでいる振り飛車党の強敵です。
羽生さんにとって対戦成績も負け越している相手だったのですが、序盤から若干模様の良い形勢を作って、中盤で徐々に差を広げて、終盤は一気に勝勢へと持っていきました。
最後は時間との戦いにもなっていましたが、形勢の逆転の見込みのない局面を作って、菅井さんの投了となりました。
これで今期の成績は8勝1敗で勝率0.889。恐ろしく絶好調です。そして、この流れで来週の王座戦挑戦者決定戦に勝利してもらい、藤井聡太王座との夢のタイトル戦を実現してもらいたいと強く願う次第です。
しばらく、将棋の記事が増えそうです。
繰り返しますが、ほんと、興味のない人ごめんなさい。でも、書かずにはいられないのです・・・!
