正ちゃんは努力しても無駄・・『ガリベン先生』/にっくき家庭教師③
「にっくき家庭教師」と題して、そのものズバリ、憎い家庭教師の話を2本取り上げた。以下の記事を読んでもらえばわかるように、この2作は全体の展開や個別のシーンがよく似ている。
共に、好きな子(のび太の場合しずちゃん、ゴンスケの場合みよちゃん)に、年上の大学生の家庭教師がつくことになり、嫉妬して、何とかして関係を妨害しようと試みるお話であった。
さらに共通項としては、家庭教師は歯の浮き出るほどのおべんちゃらを使って女の子やその母親に取り入る一方で、傍から見ればいけ好かないヤツらに見える。この2作を読む限りだが、藤子先生は家庭教師に対して、かなりネガティブな感情を持っているようにも見受けられる。
さて、ここからはまたパターンの違う「にっくき家庭教師」を見ていきたい。今度の家庭教師は、好きな子とかではなく、自分自身を教えるために親からあてがわれる。
これが、勉強嫌いのFキャラにとっては、迷惑千万。何とかして、家庭教師から逃れたいと画策するのだが・・・。そんな作品を2作(記事2本)連続で見ていく。
「オバケのQ太郎」『ガリベン先生』
「小学六年生」1965年6月号/大全集11巻
お世辞にも勉強ができるとは言い難い大原正太。ついに両親も何とかしないとということで、思い切って家庭教師を採用することに。
学生服を着た男性で、名前はかりべ先生、大学生であろうか。家まで先生に付きっ切りなんてまっぴらな正ちゃんは、「テレビの月賦も済んでないのに無理するな」と家庭の事情を理由に拒むが、親の決意は固い。
かりべ先生も、「オール五を目標に頑張ります」と心強い。それに対して正ちゃんは「不可能だ」とツッコミ、Qちゃんは「オール五を取ったら天地がひっくり返るよ」と賛同する(無意識にバカにする)。

結局は渋々勉強を開始。かりべは、正ちゃんの成績が悪いのは努力が足りないからだと指摘すると、Qちゃんが「努力しているよ、ただ頭が弱いだけだ」と正ちゃんの傷口に塩を塗る。
厳しい指導が始まり、しばらくするとママがおやつの饅頭を持ってくる。正ちゃんは喜ぶが、かりべは「勉強が済むまで預かる」と言って取り上げてしまう。(Qちゃんも食べさせてもらえない)
そこで、一問答えたら一つずつ食べて良いというニンジン形式や、逆に10分経っても答えられない場合はかりべが食べてしまうタイムオーバー方式など、おまんじゅうを巡る押し引きが行われる・・。この辺りは「オバQ」ならではのドタバタである。

さて、勉強も煮詰まってきて、正ちゃんはQちゃんの協力の下、家をこっそりと脱出。しかしすぐに家庭教師には見つかり、追いかけられる。正ちゃんは勉強ばかりでは頭が壊れちゃうと抗議。そこで、少しは気分転換が必要と言うことになる。
なぜか13分20秒だけ自由時間が許される。のんびりしていると、かりべ先生は雲の種類を言えとか、野花の種類を答えろなどと、全然リラックスさせてくれない。
正ちゃんたちが、かりべから離れると、学校で一番できるという少年が空き地に座って書き物をしている。急に登場してきた男の子だが、特に名前は紹介されず、メガネを取ると正ちゃんそっくりということが判明する。
そこで、この少年に一日だけ身代わりになってくれるようお願いする。不正は嫌だと言われながら、「人助けだと思って」と無理やりに説得。服を入れ替えて、少年が家庭教師の下へ、正ちゃんは誘われていた野球をしにいく。

家に戻ってきた正ちゃんの身代わりの少年。彼は学校一の頭脳ということで、かりべが用意していた問題集をスラスラと一気に解いてしまう。これにはかりべも驚き、正ちゃんのママに「もう僕が教えることはありません」と脱帽するのであった。
さて、ここで家庭教師は撤収。一件落着と思いきや、替え玉工作の後始末が残されている。
正ちゃんの身代わりとなった少年は、家族からも完全に正太扱いされ、掃除を手伝わされたり、兄・伸一から100円を取られたりする。しかし、勉強もお手伝いもしっかり頑張ったということで、パパからはお小遣いを貰い、さらにご馳走も食べさせてもらう。
よって、本物の正ちゃんはいつまで経っても、入れ替われずに、家の外で待ちぼうけとなるのであった・・。
本作に登場する家庭教師かりべは、勉強に対して厳しいがそれほど嫌な性格ではないようだ。なので、「にっくき家庭教師」という括りにしては少し可哀そうな気も。
しかしながら、本作をベースにした、まさしく憎い家庭教師が登場するお話が、その後描かれる。次稿ではそれをご紹介!
「オバQ」もたくさん扱っています。
余談ながら、Qちゃんが家庭教師になるというお話もありますが、こちらはタイトルだけ書いておきます。
「新オバケのQ太郎」『Qちゃんの家庭教師』
「小学四年生」1971年5月号/大全集2巻
