「あれはスミレちゃんのパン〇だったんだね」『見た!パー子の正体』/パー子の正体は誰?③

みんな大好きパー子ちゃん。(このページを見ている人は100%)

パーマン3号、すなわちパー子は、マスクを取った顔をパーマン仲間にも一切見せることがない。パーマン仲間から見て、パー子のプライベートは謎のままである。

パー子からすれば、自分の正体が大人気アイドルの星野スミレだと仲間にバレてしまえば、きっと今までとの関係ではいられなくなることを知っている。

だから頑なに顔を見せられないのだが、他のパーマンたちがそんなことに理解が及ぶはずもない。

よって、「顔が見たい」「見せたくない」はどこまでいっても平行線のままだが、実はパー子が2回だけ自らの正体をパーマン仲間に見せるお話が存在する。

本稿ではその貴重なお話を取り上げていきたい。

なお、「新パーマン」におけるパー子の正体を巡るエピソードを、先だって2本の記事でまとめている。気になる方は、まずこちらをご一読していただきたい。


『見た!パー子の正体』
「小学三年生・小学四先生」1985年1月号/大全集8巻

まずはパーマン(みつ夫)の気持ちになって考えてみよう。

毎日のように顔を合わせて仕事をしている同年代の女の子がいて、その子の顔は一切見ることができない。見せてと言っても頑なに拒まれてしまう。

そんな状況に置かれたら、誰でもその子の顔を一度は見てみたいと思うのではないだろうか。


我らがパーマンが新年の目標を立てる(本作が「一月号」掲載作品のため)。それはずばり「いつか必ずパー子の顔を見ること」である。ブービーも「ウイウイ~」と賛同する。

顔見せろ攻撃をずっと食らっているパー子としては、「またそんなこと言ってる!」と憤慨し、「どんな顔してようがパーマンの仕事に関係ないでしょ!!」と激怒するのであった。

いつもならそこで引き下がるパーマンだが、新年ということもあるのか、「隠すから余計に見たくなる」と食い下がり、マスクを「脱いで!見せて!」と猛烈に迫る。

困り切ったパー子だが、その瞬間どこかへとテレポートしてしまう。バードマンが助け舟を出したのである。

バードマンはパー子に対して同情的だが、「嫌がるのに無理やり見ようとするのはスカートめくりと同じことだ」とたとえ話が相当下手のようである。顔をパンツになぞらえられたパー子は「パンツと一緒にしないで下さい」と気分を害する。

なお、ここでパンツの話題が唐突に出ているが、後ほど再びパンツの話題が登場する伏線にもなっている。


パーマンたちに手を焼いているパー子に、バードマンは「一度だけの約束で見せちゃうか」と、思ってもみない提案をしてくる。覆水盆に返らずで、「一度でも見せたらバレちゃうでしょ!!」ともちろんパー子は反対する。

そこでバードマンが取り出したるは、記憶性妨害物質が含まれているというクリームである。このクリームを顔に塗っておけば、絶対に覚えることができないのだという。

藤子世界では時々この手の記憶を定着させない道具が登場する。でも最初からこんなクリームがあるのなら、普段のパーマン活動においても便利なので、常時みんなに渡していても良いように思うが・・。


一方のパーマン、ブービー、みつ夫のコピーは「何が何でもパー子の顔をみよう!!」「オホホ、ムホホ」と気勢を上げている。そんなところへクリームを塗った後と思しきパー子が登場し、「そんなに見たけりゃ見せようか」と自ら提案してくる。

3人は舌を垂れ流すほどに「見せて」と熱望すると、パー子は「ただし一度見せたら二度と見せろと言わない」と約束させる。

そしてついにマスクの御開帳。ゴクリと唾を飲む音が漏れる。そして「バア・・・」とマスクを取った姿は、何とあの星野スミレ!(しかも超カワイイ)

「ウッソー!!」と天地がひっくり返るように仰天する三人。そして

「じゃ、じゃ、じゃあ、ぼ、ぼ、ぼ、僕らはず~っと・・・、スミレちゃんとお仕事してたわけ!?」

と余りの驚きにしどろもどろになる。

スミレちゃんとなったパー子は何だか急に言葉使いも丁寧となり、「そうなんですの。いつもお世話になってます」と、さすがは芸能人といった受け答え。やはりマスクが性格を変えるのだろうか?

「これで気が済んだでしょ」と言って再びマスクを被ろうとするが、パーマンがさっとそのマスクを掠め取り、「いいじゃない、お正月だもの今日一日マスクなしでいきましょう」と強引な展開に持ち込む。


さて、パー子が星野スミレと知ったパーマンたち。予想通りに、いや、予想以上にパー子への扱いがガラリと変貌する。

ケーキを出してきたり、晩御飯に誘ってみたり、突然急なおべっかを使ってみたり、照れて会話ができなくなってしまったりと、パー子が危惧していた特別扱いが始まってしまうのだ。

なお、パーマンたちの見え透いたお世辞は以下。

パーマン「普通なもんか!前から思ってたんだ。パー子さんてどことなく上品で・・・」
コピーロボット「僕も思ってたの。垢ぬけて魅力的で、ただの女の子じゃないなと・・」
ブービー「モキャホアヒャヒウヒャー」

ブービー語は相変わらずイミフだが、すっかり猿語を理解するパー子は「うそばっかり」と反応する。


会話が続かないということでテレビを付けてみると、「連続強盗ピストル乱射事件の犯人が赤沢岳に逃げこんだ」という、数年に一度あるかないかの大事件が勃発している。

さっそく「赤沢岳へ!!」と颯爽と飛び立つパーマン3号を見て、「さすが~、スミレちゃん決まってる~」とパーマン大興奮。そしてパー子の後ろを飛びながら、問題発言をポロッとこぼす。

「いつも何気なく眺めていたが・・・、あれはスミレちゃんのパンティだったんだね」「ウイ~」

と、これはパー子も聞き捨てならない。ミニスカートかつショートパンツなども履かずに空を飛ぶのがそもそも間違ってはいるのだが、それにしてもデリカシーがない。

「いつも眺めていたの!!」と怒るスミレに、「いえたまに、チラッと」と言い訳にならない口答えをする。


赤沢岳は遠いので、パーマンたちは手を繋いでパータッチで急ぐことに。スミレちゃんと手を繋いだことに感動したパーマンは、この手を当分洗わないと宣言。「いちいちやりにくいなあ」とすっかりパー子は呆れてしまう。

なお、パータッチをご存じない方は0%だとは思うが、念のため解説しておくと、パーマンは一人では時速119キロの飛行速度だが、二人で手を繋ぐと238キロ(倍)、三人だと476キロ(倍の倍)となるのだ。(新パーマンの設定の場合)

パーやん含めて4人手を繋ぐと時速952キロとなり、ジャンボジェット機並みの速度となる。この逆算から119キロと決められたのではないかとも思うがいかがだろうか。


逃亡犯が逃げ込んだ赤沢岳へ到着。犯人はピストルを所持しているので、スミレちゃんには危ない目に遭わせたくないということで、森林の手前で待っているよう告げる。

「そんなのないわよ」とパー子は反論するが、「全国のファンのためです!」と一顧だにせず森へと入っていってしまう。「これじゃ何のために、パーマンやってるんだか」とパー子は納得がいかない。

すると少し先に逃亡犯が歩いているのを発見するパー子。「見つけた」と言って飛びかかるが、パワーの源泉であるマスクを取られてしまっているので、逆に犯人に捕らえられてしまう。

力ではまるで敵わないということで、たまらず走って逃げだすパー子。そして崖へと飛び出すが、パーマンマントは装着しているので、そのまま空中に浮かびあがる。

後をついて崖から身を乗り出してしまった逃亡犯は、そのまま崖から落下し気絶。犯人の絶叫を聞いて飛んできたパーマンと2号は、伸びている男を見て「さすがスミレちゃん!!」と絶賛する。


さて、もう少しスミレちゃんを眺めていたいところだが、マスクなしのパーマン活動は危険を伴う。マスクを返却して、それぞれ帰宅の途へ。パーマンは「今日は実に楽しい一日だった」と満足気である。

そして唯一パー子の素顔を見ていないパーやんを「大ニュース」だと言って大阪から呼び出す。

パーやんは「パー子はんの正体がわかった!?」とビックリ仰天。パーマンは「聞いて驚くなよ」と言って、星野スミレの名前を出そうとするのだが・・・。何と思い出すことができない。

記憶妨害クリームの効果は絶大なのであった。

パーマンたちは「もう一遍だけ見せて」とパー子にねだるが、「ダメっ、一度きりの約束よ」ときっぱり拒否。

これで「顔見せて」コールが今後収まるとも思えないが、当面はパー子にとって平穏な日々が戻ってくることだろう。


ちなみに、この記事の最初の方で、パー子の正体はパーマン仲間に二度明かしたということを書いた。

一度目は本作で、記憶妨害クリームのおかげで正体がスミレちゃんだという事実は封印された。パー子はパーマン活動と顔は関係ないと言っていたが、パー子の顔についてはパーマン活動の阻害となることが明らかとなった。

そして二度目はいつかと言うと、これは「新パーマン」の最終回である『バード星への道』のラストシーンにおいてである。

この時は今回のクリームは塗っていない。みつ夫だけが、パー子の正体を知り、その思い出を胸に秘めて、バード星での留学生活を頑張ることになるのである。




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