遊線からの物体V 第33話
《エピローグ》
星緑が消えたあとも、俺たちの日常は変わらない。
斎木堂からなにか話があるかと思ったが、そんなこともなく、時枝は何食わぬ顔で、今俺たちの目の前で授業をしている。
MIBとかいう連中もあれからやってこない。
俺や千里先輩の能力や服部が忍者だったことについては、あれから改めて話す機会を設けようと提案したが、
「はて? それは一体なんの話でしたかな?」という秋葉の一言でうやむやになってしまった。
時枝にも俺たちのようになにか特殊な能力があって、それで記憶を改竄したのか?
いやいや、単にみんながとぼけてくれているだけだろう。
ちなみに俺の能力の話でいくと、あれから異性の心は、また少しずつ読めなくなってしまった。
いつか、俺の読心能力自体消えてしまうのかもしれない。でも、それならそれでかまわない。
そうそう、俺たちは後日、パソ研のパソコンの中にコピーしたアステロイド6のことを思い出した。
そのイルカは不完全で、話したりすることはできなかったが、パソコンの中を所狭しと泳ぎ回っている。
秋葉と葉加瀬は、研究材料だと大喜びしていた。
それから俺は、相変わらずの学生生活を送った。
相変わらずってのは、やっぱりハチャメチャで、ジェットコースターに乗っているような毎日だ。
つまり?
とてつもなく楽しくて、スリリングな青春を送ったってことだ。
時は経ち、2051年。
再び集まった俺たちは、待ち続けた一つの配信を見ることになるだろうが、それはまた別の話だ。
さてその時の俺たちは生身の身体なのか? それともバーチャルの身体になってしまったのか?
寿命はどうなった?
世界は?
どうだろう。想像してみて欲しい。
ただ、これだけは言える。
その時、配信先から聞こえてきた声は、俺たちにとってとても懐かしい声だった。そしてきっちり歳を取っていたことだけは伝えておく。
で、その声は最初になんて言ったのか?
サービスで、そいつも伝えておこう。
短くて、簡単な、あの頃俺たちの間で流行っていた挨拶だ。
【ベントラ〜!】
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