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じゃない不倫 ②

 一人旅は割高感がある。宿は大抵二人部屋だ。それらを念頭に置いてもこの気軽さには変えがたい。マナミは日光のホテルの朝食バイキングの席であることに気づいた。隣のテーブルの二人連れに見覚えがあったのだ。あの人たち前回の草津温泉にもいたわ。ううんその前の山梨の葡萄郷にも。なぜ印象に残っていたのかといえば彼らの不自然さのせいだ。親子ではない。口調がよそよそしくなったり馴れ馴れしくなったりするのはなぜだろう。女の方はリゾート地に不似合いな白いブラウスに紺のタイトスカートとA4サイズも納まりそうな黒いバッグを持っていた。まるで勤め帰りだ。あるいは仕事に行く振りをしてここに来たに違いない。なぜそんな真似を? マナミの立てた仮説は恐ろしいものだった。彼らはカップルを装ったスナイパーだ。ターゲットはまさか、この私? 

「あの女の子一人で来てるのかしら。湯河原にもいましたよね部長」男に戦慄が走った。よもや女房の差金ではあるまいな。


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