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ジンジャークッキーイブ ③

「クッキーの種を薄く伸ばすの。粘土でよくやったでしょう」
誰もいないキッチンで私はツリーに語りかける。読まれない物語を投稿し続けるかのように。ふと、すぐそこに誰かがいるのに気づいた。
知らない男がうちのなかに? 年の頃は四、五十代かしら。頭がおかしいフリしよう。
「型抜きするの。よくお砂場でプリンを作ったよね」「それはそうと、白といえば何を思い浮かべる?」
『雪』
(えっ、しゃべった💦)
「私はねえ、ジンクホワイトってわかる? 油絵の具の白よ。絵の具の色は成分の名前なのね。ジンクは亜鉛よ。でも、ジングルとかジンジャーのジとは違うのよ。最初の二つはスペルこそ違うけど同じ音なのにね」
私ったら何の話をしているのかしら。手が勝手に生のクッキーを天板に並べている。
「焼けるの待ってるあいだにお紅茶を淹れましょうね。いつものミルクティーでいい?」
『違う』
えっ? 男が顔をゆがめている。
『やっぱり本当のママじゃない!』
リモコンを向けられると、目の前が真っ白になった。

427字


#毎週ショートショートnote の#ジンジャークッキーイブ というお題ですが、「白」をイメージして書きました。解説しますと、雪女が出ていったあと、残された息子が母親のロボットを作ったという設定です。なぜ『違う』のか? アイスミルクティーにしておけばよかった?

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