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怪文の半分は野菜でできています

一瞬耳を疑いました。
「聞こえなかった? 野菜買ってくれないって言ったの」近所のおばさんでした。断じて押し売りではありません。もの静かで親切な人です。普段はタダでくれるのに。暮らし向きが良くないのかしら。気の毒だから大根を買うことにしました。「一本10円」納品書と領収書を出します。お茶でもとすすめる私を遮り「あと何軒かまわらないと」とお帰りになったのです。今夜は大根料理と立ち上がったとき玄関に落ちていた紙切れに気づきました。細かい文字で『〇〇党の✖️✖️候補はわが町に移民センターと廃棄物処理場と非行少年矯正施設を誘致を目論んでいます。△△党の現首長は勤務中に特設サウナ室にこもって女性職員に入室することを強要しました。もちろん公費です。⬜︎⬜︎候補がその様子を役所の仕掛けたカメラで撮影しました。世間で話題の現金輸送車襲撃事件ですがアレって※※候補が一枚噛んでいるって知ってましたか?
「早くメシにしてくれよ」あの人の声も耳に入らず熟読してしまいました。「おいメシは、」「うるさい、今面白いとこなんだから」思わず大根を振り回してしました。彼はいま野菜室にいます。どうにかしないと。有権者に知られないうちに。

500字

「ただいま。何をじっくり読んでるんだ?」「ただの怪文書、中傷ビラよ。それより聞いてお隣さんだけどだいぶ生活が苦しいみたいよ大変よねえおばあちゃん具合悪そうだし子どもたちもおおぜいいるのにねえ」


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