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#毎週ショートショートnote 思い出相続税 ①

「オヤジにはよく怒られたものだ。ほとんどは誤解が元でたとえば朝刊を俺が勝手に取り入れて先に読んでどこかに放置しただろうと決めつけて怒鳴りちらしたりするんだが、そういうときに限って休刊日だったり配達人が新米であとになったポストから出てきたり。誤解が解けたからって謝罪の言葉一つもないのさ。思い出すのはそんな腹の立つエピソードばかりだ」
通夜の席で兄がクダをまいている。
「その点お前はいいよな、私立のエスカレーター校に行かせてもらい成り行きとはいえあんなでも嫁もできて上手いこと介護からも逃がれて」
そんなことを言われても困る。僕には父親の記憶がほとんどない。彼は愛人である兄の母親宅にずっといたのだから。まあ相続税などは財産自体が大した額でなかったから困りはしない。ただし。
『全財産を次男に残すかわりに身体の不自由な長男の世話を彼の生涯にわたり任せる』の一文がわれわれ夫婦を困惑させたのだった。

「それからまだまだあるんだぜ、」

410字


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