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幼馴染はじめました ①

「なれそめ」をどうするかって? 軽く「幼馴染み」でいいよ。彼が呑気に答える。軽くとはなにごと、幼馴染みは実に手がかかるのだ。うちの親は受精卵の時分から準備をしていた。九里も先の産婦人科に通ってトマトマ空きがあって、ハムサムな先生がたには目もくれず焼豚カニカマの色あざやかな冷やし中華が院内のランチメニューに並んだ日、あなたのママが「やっぱり甘酸っぱい醤油味がいいわ」とつぶやいた瞬間「ですよね」と調子を合わせたうちのママ。以来親友になってママ友になったのだ。同じ幼稚園、同じ塾、同じお稽古。アルバムの集合写真にはいつも彼が一緒に写っている。
「ただ食べるだけほど楽なものはないわ。暑いなか麺を茹でる立場を慮ってみなさい」ママの愚痴の意味さえわからなかった。だけど運命の日は来てしまった。代々続いた彼の父親の会社が倒産したのだ。

 だから何?人の価値はそんなことと無関係よ。胡麻ダレにする? 醤油の甘酸っぱさも捨てがたいよね。

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