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dorobe56
来襲の運勢 ①
「どうした珍しく大掃除なんかして。せっかくの晴天が台無しになるぞ」
父は呑気に競馬を見ながらウンセウンセとソファを移動している母をからかう。どうしたも何も敵の来襲ですよ、母の日ですからね。お義母さんとアナタのお兄さん一家がおいでになるんです。来週のつもりでいたら『母の日』に。ご自分の身内は遊びに来るわ雑用はしなくていいわ馬は速いわ運勢最強ね。口には出さない。アタシは内心ドキンとした。従兄弟のケンちゃんが来るんだ。来週までにヘアカットしなきゃ。玄関先にトラックが停車する。
「うそ。ケンちゃん? 来るなら予め言ってよ」彼は白い歯をのぞかせ
「これ、ばあちゃんから」と箱をさしだす。カルピスだ。
「何だお前だけか」父は拍子抜けしている。「配達のバイトの途中です」ペコリと頭を下げる彼の背後に積荷が見えた。(ライスの運送青年組合?)コメの買い占めとか闇の噂が絶えないグループだ。まさかね。胸のうちで何かの気泡がパチンとはじけた。
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