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林檎失せつ

 りんごろうは嘘つきだった。給食のリンゴを見ているうちに話始めた。
「ボク林檎鉛筆持ってるんだ。全部リンゴ色で紅玉色の芯を包んでいるのは紅玉の幹、国光色、ふじ色、王林色、しなのゴールド色。最近見かけなくなったデリシャススターキング色なんて黒味がかった赤に星のようにポツポツと斑点が浮かび上がるんだ。芯には各種リンゴフレーバーが練り込んである」
 同級生は誰もきいていない。放課後りんごろうが一人留守番をしているとベルが鳴った。クラスメイトのつがるサンだ。
「こんにちは。珍しい色鉛筆を持っているんですって? 見せて」つがるサンはサン拍子揃ったマドンナタイプだ。
「あれは弟の奴がどっかに隠した。今塾に行っていないけど」
 翌日りんごろうは通学路でつがるサンと弟が揉めているのを目撃した。
「色鉛筆を何処に隠したの?」
「ボクは知らない!」

 二十年後不肖の弟は津軽財閥の婿養子に収まり林檎農園経営に携わることになりましたと林檎老は語る。


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