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LOVE 怪談 ②

 結婚記念日に外食することになった。男は躊躇ったが思い切って告白することにした。あたかも明日発売される週刊誌に自分のスキャンダルが掲載されるのがわかって政治家が前もって一身上の理由で辞任するかのごとく。
「実は、」キミと出会う前にある女と世帯を持っていた。冬山で遭難しかけた翌年だ。その女の正体はと言いかけて言葉を切る。
「あなた顔色が悪いわ」
妻はウエイターに合図する。ウォーターが注がれる。飲むと落ち着いた。
「実は、」キミと知り合う前に別の女と世帯を持っていた。豪華な絹織物で一山当てた話はしただろう、
「オードブルでございます」置かれた皿には白っぽい肉片、そのアッサリした風味は男に安堵感をもたらした。

「良かったわねあなた。お雪もお鶴も失踪後七年が過ぎて、姿を見せる心配もないわ」
 あの水は、あの肉は? そんなことより眩暈がするのはなぜだ。名前と顔を二度変えた女は電卓をたたいていた。三人分の保険金はいくらになるかしらと。

410字

マイナンバーが普及する前の昔々の怪談です。


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