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入学式の養殖 ③

「おじいさんおじいさんたら、聞こえないフリしなくたっていいじゃありませんか、タローの孫が入学式を迎えるんだそうですよ、何とかしてやりたいですよね、贈るとか包むとか。そりゃ確かにちょっと前に卒業式のお祝いを渡したばかりには違いありませんよ、確かに年金と芝刈りと隙間バイトの細々とした生活費のやりくり、どれだけ入ってくるかよりも、どれだけ出て行かないかが重要なのに違いはありませんけどね、嬉しいことにあの子おじいさんの母校の後輩になるんですよ、それをおじいさんたらワシの時代の入学式は紛れもない天然物じゃった。なのに無理して行かせた息子の式は養殖物ときたもんだ、そんなものは偽物じゃ許さんだなんて子どもみたいなことを」
ここまでひとりごちていた老婆の前に男の子が現れた。
「心配かけてごめんなさい。でも僕もう一度チャレンジしてみますよ。やっとのことで天然の入学式をやっている学校を見つけました。来年の二月には必ず結果を出すから」

410字

後ろ手に素早く『天然物の入学式』を入力しましたが、すぐに『輸入物』『多浪用』の文字が並んで浮かび上がっていたのでした。


今回から裏お題がなくなり一本化したため的を絞って一作に集中しなければと肝に銘じたのですけれど。

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