柴犬ハーフパイプ ①

 谷底の中道は凹状にくり抜かれ理想的な競技場の姿を呈していた。「ふむう」ついにきたか戦場にあって生涯のライヴァルと賞牌の獲得に命を賭ける日が。ショウハイは指揮の有能さだけでなくチームワークと足を引くことのない味方にかかっている。あとは時の運だ。勝つ以上は何らかの失策に味のある演技などして欲しくない。知恵と知恵の闘いが望ましい。壁面が滑らかに光を反射している。上から攻撃されら逃げ場を失うしかない。ムッあれは何だ? 板の裏面に車輪だと? ただでさえ滑り易い氷の壁面で環状部分が空回りしていた。その姿はフローリングの床上で上手く歩行できない柴の子犬を思わせ失笑を誘った。気の毒にも間者に板をすり替えられたのだ。油断禁物。満を持して登場の次なる選手は何と車椅子に鎮座していた。まさか座ったままで? 車椅子の足元が橇になっている。しかも羽根の扇を手にしているではないか。
「ワナだ。孔明ではないか」と細い鬚と眉の司馬懿ヌ仲達が。


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