入学式の養殖 #毎週ショートショートnote
ずらりと整列した子どもたちを見るのはまことに気分がいいものだ。それに正装した保護者たち。やはり入学式となれば明るめのスーツだ。男性陣は変わり映えのしないグレーや濃紺だが、主役は私なんかじゃありませんからと控えめな姿勢を崩さないものの母親らは鈍い光を放って輝いている。つまり一連パールで首もとを飾っている。まるでしめし合わせたかのように青いジャケットにタイトスカート丸首のインナーに緩やかな白い放物線だ。
「奥様、さすが粒が大きいですわ」
「いえほんの普段づかいです」
「先生がたもパール一色ですね」
「校長も女性ですものね」
ついにここまできた。実の子でないとはいえ代理母として体内にあたたかくはぐくんできたあの子の晴れ姿に涙があふれる。そもそも親子なんて偶然の出会いだ。養子であれ養殖であれ愛情を注ぐことに変わりはない。それにしても何たる壮観であろうか入学式参列者の首まわりにずらりと並んだ子どもたちの。
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真珠はモームをして狡猾な日本人とまでいわしめましたが世界に名だたるブランドの養殖産業に上りつめました。葬儀などフォーマルなシーンに欠かせないとはいえ移り気な大衆はチェーンやスカーフで襟元を飾ったものでしたが今年は違います。
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蛇足ながら、
読書のじかんその②あるいは裏お題廃止の衝撃
毎ショの裏お題がなくなるショックを何かに喩えるならありきたりだがお気に入りの店の突然の廃業宣言とか、大事なペットか突如姿を消すとか? そもそも裏お題とは何だったのか。元々毎ショのお題には田丸先生のカードが使われていて、そこから発展して流行り言葉や季語が意外性のある取り合わせで盛り合わされていた。そのジャンルに馴染まない人への配慮としての裏が表の音韻を借りつつ更なるイメージ困難な語句を創出していた。話は変わるが私がフォローさせていただいている偏光さんこと岡埜さんがだいぶ以前に三島の作品を取り上げておられて、是非再読すべし、だがなんと英訳者ジョン・ネイスンも匙を投げた『絹と明察』。読み返せど若い頃のようにはいかない。クセの強い登場人物が華麗な比喩と煌びやかな文体に踊っているけど頭がついて行かないやめてよヘーゲルとか?そのかわりに不思議とおなじみフレーズが浮かんでくる。今回のお題は【絹と明察】そんなたらはさん、絹糸を使うトリックを名探偵が解くなんて古過ぎます、もっといまの若者にアピールしたいのですよ、という方はこちら【犬と警察】チラッ。確かに音韻は合っているかも知れないけどこんな裏お題百人が百人「サツのイヌ」とか「犬のおまわりさん」などの常套句から逃れるそれはそれで退屈な戦いを強いられてしまう。つまり「AとB」の場合二つは赤の他人の異世界住人でなければならない。例えるとせっかくのお見合いパーティなのに全員知った顔どころか近親者だったときのうんざり感はあなたにおすすめとしてすでに何度も視聴した作品ばかり出てくる損した感であろうか、ともあれ今まで素敵な裏お題をありがとうございました。
