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沈む寺 (小屋編)

「むかし、あるところにお寺がありました。お寺の裏には池がありまして、周囲をキンモクセイの木が囲んでいます。
 和尚さんはお寺に村の子供たちを集めては、文字やそろばんを教えておりました。案外大変な仕事なのです。子供たちのなかには、お行儀の良くない子もおりました。朝から浮かれて騒いでいます。心に浮かんだことをすぐに口に出す子もいます。周囲に溶けこむことができなくて浮いている子や、ウキウキしている女の子の集団。それでも和尚さんは辛抱強く授業を続けていましたが、ついに心の浮きがピクリと動いたので忍耐の釣竿を引き上げてしまいたした。

『ええい、静まれ、鎮まれ、沈まれ!
お前ら全員、池に沈められたいか!
それとも、池に浮かびたいか?』」

 その声に驚いて家に侵入していた盗賊団は慌てて逃げて行った。

(何だアイツ、箱庭の池に小さな人形を並べた挙句に紙の寺を丸めてねじ込んでいたぞ?)

教育実習の本番は明日に迫っていた。

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