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告りびと ①

「ねえ君。こうして二人で傾いた太陽が差し込む窓辺で静かに微笑んでいるとかならず誰かが割りこんできたよね。オレンジ色に染まった液体にストローをさして僕の顔を見つめたものだ。そういうことが何度も何度もあった気がする。もしかして僕は誰かを待たせているのだろうか。僕のほうから行動を起こして告白をするべきだった? おや君ったら怒っているの? 搾り器のみかんに八つ当たりしないでよ。転んで骨でも折っちまえ? そんなこと言ってるまに、また一人女の子が店に入ってきて僕らの席に座ろうとしているよ。先週の占い、当たっていたんだ。残念ながら馬の予想は外れたけど。彼女は素知らぬ顔で廃止されていたテストが復活しただの、火曜日は星野珈琲にするつもりなのと当て馬茶店の回数券をチラつかせる。

ねえ、君ったら。

 振り向かされた背後には誰もいなかった。百均のシンプルな木枠が夕暮れ色に染まって初めて好きになった子の笑顔をとじこめているほかは。

406字

 悪いことしたね。君に「あの子」を演じてもらったのはアルバイトだったんだ。何十年も前に揉み消された事実。鈍くてどんな誘惑にも屈しなかったけど実は告りたかった国利の人はつぶやいた。


あとがき
 蛇足ながらこの物語は石川ひとみ「まちぶせ」の歌詞を下敷きにしております。冒頭の「夕暮れ」を額に入れてみました。こうした細工はお題とか時代という枠から自由であるとは言えませんが。歌詞はユーミンでwikiによればフランソワーズ・アルディ「さよならを教えて」が元歌だったとは。


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