Photo by
aide_tsumugu
すいゆかず #シロクマ文芸部
鍋の具はあとで調達するとして、まずは幹線道路沿いの釣具並びにスポーツ用品店を目指すことにした。相方は不思議そうに「なんで釣り? ここ海無し県じゃなかったっけ」とスマホで「鍋」「具」をぐぐっている。
「川があるんだ。このへんのはずなんだけど」「もう通り過ぎた?」
「まだだ。看板の色が違う気がする」
「あれかな、家具、寝具、農具、文具、仏具、玩具、」
どれも鍋の具に結びつきそうな店ではない。
「農具で野菜が作れるんじゃない? あっキッチン道具店なら土鍋置いてるかも」
脇道に入る。
当店は〇日を持ちまして閉店いたしました。
「さっきからおなじとこ具ル具ルしてない?」うん目が回ってきたぜ。
「おお、あんなところにチャンコ屋が!」
なになに白熊亭だと? 裏口におまわりください。金属類は全てお預かりします?
ドッと疲れが押し寄せる。もうなんでもいいからコンビニでなんか買って帰ろうよ。割れ鍋とじ蓋のあたしたち、具入りの鍋は次回のお楽しみに。
410字
歩いても歩いても知ってる店がないという経験はありませんか。知らないうちに街並みが変わったのか、自分の記憶違いなのか。
こちらに参加しています。
