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chizu1205
りんご右折 ②
私は甘くて真っ赤な林檎。自慢じゃないけど楽園の知恵の木の実だったこともある。敗戦の悲しみを湛えた唇でふれられたこともある。その私を事もあろうに毒リンゴに仕立てたのが例の魔女だ。悪の小道具に成り下がった私。悲しい。自慢じゃないけど私だって魔法くらい使える。しゃべることもできるし。
「オイりんご、ここ右折だっけ?」
魔女が方向音痴なのは私の魔法のせいだ。
「はい」魔女はアクセルを踏んで直進する。「テキトーなこと言ってんじゃねえ」
「本当です。狭いナローな小道、すなわち右です」
「ちっ」魔女は引き返し小道に入ってゆく。「でもここ、さっきも通ったよな?」だんだんと苛立つ魔女。
「同じ景色の連続じゃねえか」それもそのはず、私の魔法で魔女の車は尺取り虫姿で巨大なリンゴの表面を走行していた。おかげで毒リンゴである私が七人の小人の小屋にいる姫に届けられることはない。だから姫が毒にやられることもない。誰が王子様を渡すもんかあんな小娘に。
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リンゴのヘソはナローに曲がっていた。
