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髭は恋をする。③

 深窓の令嬢を集めた乙女の園に硬派なサークルがあった。髭研究会である。
「如何にしたら髭を手にできるのか」
日々議論を交わしていた。要するにフェミニズムに髭の生えた一過性の麻疹グループだ。
「男子は髭が生えるくらいでマウントを取ろうとする。まるで髭に神秘の感覚が宿っているかのように」
「そんなもん昆虫だって生やしている」
「私は日夜顔に紫〇改を塗っております!」「童顔アイドルが無理矢理髭をたくわえても全くサマになっとらんわな」
ある日大先輩が部室に現れた。見違えるほど女らしくなっている。
「貴女たちいつまでも下らない活動してないでもっと青春らしいことなさいよ、勉強とかスポーツとかオシャレとか」
嫌ですわ、どうしてうちの母と同じ事をおっしゃいますの。だが後輩は相手のスマホのマッチングアプリのアイコンを見逃さなかった。
「裏切り者」さっそく友人のハッキング研究会部員に連絡する。
「キャア!」
先輩のプロフィール画像は髭にまみれていた。


410字


「通りすがりの隣国の王子です」独身証明書をかざしながら声をかけてきたものがある。
「こちらの方はデータと違いますね、髭がない」
卒倒した先輩を見そめたようだ。
(何かいい感じの人だわ、髭こそないけど)
ようやく髭を得ていた七人の女子たちはつぶやいた。


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