光過敏症でライブに行けなくなった|視ること、身体のこと
こんにちは、しほです。
鍼灸師でメガネ屋さん。
イノチグラス目育士。
東京・自由が丘の「はりきゆうCiTTa」を拠点に、
鍼灸と視覚の両面から、目・脳・身体を調えるご提案をしています。
「妹の話を聞いてもらえませんか。」
京都にお住まいの患者様からご相談がありました。
ご実家は横浜。
出張や帰省のタイミングに合わせて、
自由が丘まで施術を受けに来てくださっています。
久しぶりの施術の日。
「先生のメガネのお話、詳しく知りたいんです」
「一昨日、実家に帰ってきたんですけど」
「妹のことが心配なんです」
適応障害で療養されていた、
妹さんのこと。
大好きなライブへ行けなくなった。
妹さんは、
適応障害と診断され、
実家で療養していました。
家族の助けもあり
ゆっくり過ごし、
少しずつ元気になってきた頃。
心の支えになってくれたのは
大好きなバンドの存在。
病気になる前に当選した
ライブのチケット。
その日までに
少しでも元気になれるように
大事に大切にその日を待っていた。
ところが。
ライブが始まって間もなく、
身体に異変が起こります。
立っていられないほどのめまい。
大量の冷や汗。
ガンガンする頭痛。
そして、吐き気。
とてもその場には入られず、
同行した友人の手を借りて
ロビーへ。
結局、会場には戻れなかったそう。
戻ってきた友人は、
彼女の真っ青な顔を見て
驚いて自宅まで送ってくれたそう。
光が怖くなってしまった。
ライブだけではありませんでした。
晴れた日の太陽。
木陰を選んで歩いたとき
すき間から不意打ちされるギラついた日光。
スーパーやコンビニの照明。
電車の車内にある液晶モニター。
夜道の車や自転車のライト。
似たような身体の異変が起こる。
光を浴びるたびに、
体調が悪くなる。
光が原因なの?
でも、
光は避けられません。
どうやら、
身体が耐えられなくなっていました。
だとしたら
音は、
ライブのような大音量を
浴びる機会は
日常にはあまりないから
なんとかなる。
光過敏症ではないか。
通院していたクリニックで相談すると、
先生から
「光過敏症ではないか。」
と言われたそうです。
光過敏症とは、
強い光や特定の光の刺激によって、
頭痛やめまい、
吐き気、
冷や汗など、
身体にさまざまな不調が現れる状態です。
反応する光は人それぞれ。
太陽光がつらい人。
蛍光灯がつらい人。
LEDが苦手な人。
ライブの照明が苦手な人。
同じ「光」でも、
身体の反応は違います。
ライブでの異変は
ライブのレーザー照明。
大音量の音楽
これからきっかけだったのではないか?
先生からは、
「しばらくライブはお休みしましょう。」
そう伝えられたそうです。
DVDやオンライン配信
今はお休みした方ががいいかもしれない。
その言葉は、
妹さんにとって
とってとてもつらい出来事でした。
病気になってからも、
ライブへ行く日を励みに過ごしてきたからです。
「普通のサングラスと何が違うんですか?」
後日。
イノチグラスのお話を
お姉さんが妹さんにすると
「ぜひ試してみたい」
早速、一緒にCiTTaへ来てくださいました。
「普通のサングラスと何が違うんですか?」
ご自身でも、
たくさん調べてきたそうです。
イノチグラスは
見た目はサングラスのように
色が付いていたり
その色が濃いこともあります。
この色、こそ
視生活を楽にするヒントがあります。
色は光の波長です。
そして
負担になりやすい
光の波長は違います。
そのため、
まず身体がどんな光に反応しているのかを確認し、
その人にとって心地よい光のバランスを探していきます。
光を全部減らすのではなく、
必要な光は残しながら、
負担になっている光を整える。
そんな考え方でレンズを選んでいきます。
だから、
同じ光過敏でも、
選ばれる色は人それぞれ違います。
目に見える光である
可視光の中にも、
さまざまな波長があります。
もし、その中に身体が負担と感じる光があったとしたら。
それを一緒に探していく。
これが
目と体と心に合わせたメガネ
イノチグラスです。
青だった。
負担になりづらい色
得意な色
それぞれ選んでいきます。
赤。青。黄。緑。白。黒。
基本となる6色を見ながら、
身体のバランスで
得意、不得意を確認します。
今回
身体のバランスは、
片足立ちをお願いしました。
赤。
黄色。
白。
明らかに身体が揺れる。
足を上げるのも躊躇う。
でも。
青だけは違いました。
身体がすっと安定したのです。
その瞬間。
それまで、
どこか不安そうだった妹さんが、
初めて笑いました。
「青、よく使うんです。」
「彼ら。」
うん、納得。
実は、
妹さんのスマホケースのステッカーで
気づいていました。
実は私も、
けんじくんも
ファンクラブに入っているくらい
大好きなバンド。
測定に影響しないように
気づいたこと
内緒にしてたんです。
深海みたい。
青いカラーレンズを試した妹さん。
「深海にいるみたい。」
「穏やかな感じがする。」
そう言って笑いました。
一方で、
お姉さんは赤が一番安定するタイプ。
妹さんの青いレンズをかけると、
「宇宙人に拉致されて、
解剖される部屋にいるみたい。」
「要するに、不安になる。」
逆に妹さんが赤をかけると、
「あぁ、これダメ。」
「気持ち悪い。」
同じ景色。
同じ光。
でも、
感じ方はこんなにも違いました。
それから二年。
青いイノチグラスを、
今でも愛用してくださっています。
フィッティング。
メンテナンス。
そのたびに近況を聞かせてくれます。
職場復帰。
揺り戻し。
勤務時間を減らしたこと。
働き方を見直したこと。
しんどい日もある。
でも、
「環境には恵まれています。」
そう笑って話してくれるようになりました。
光過敏も、
少しずつ落ち着いてきました。
夜はほとんど困らない。
室内も大丈夫。
「ライブのレーザー光線、そろそろ大丈夫かな?」
でも、
晴れた日の日差しだけは、
まだ身体が反応してしまう。
「本当は、お日様が出てる日に散歩したいんです。」
もう一つの選択肢、調光レンズ
今年から、
CiTTaでは調光レンズの取り扱いを始めました。
イノチグラスのカラーレンズに、
紫外線によって
色の濃さが変わる
調光レンズを組み合わせたものです。
試していただくと、
とても相性が良かった。
もしかすると。
彼女の場合は、
紫外線も
負担のひとつだったのかもしれません。
光過敏の誘因は
人それぞれです。
すべての人に同じ結果になりません。
みんなにとって万能な解決法はない。
光過敏だけでなく
ヘルスケアやウェルネス全般、そう。
だから
楽
合う
ちょうどいい
心地よい
CiTTaは一緒に探します。
今回は調光レンズが
彼女にとって
一つの選択肢になりました。
「来年は、行きます。」
先日。
LINEが届きました。
「先生。」
「来年のツアー、申し込みます!」
「今月の心療内科の先生との
カウンセリングでも
いい調子だねって言ってもらえました」
「なんだか、
すごく安心感があるんです。」
ライブの話。
チケットの話。
そして、
「お互い当たるといいですね。」
もう二度と行けないかもしれない。
あきらめたあの頃から
またライブへ行けるかもしれない
希望の種が生まれていました。
ワガママじゃない、ガマンしなくていい
私は、この出来事を思い出すたびに考えます。
人は、同じ世界を見ているようで、
同じようには感じていない。
光だけではありません。
感じ方は、
人それぞれ違うということ。
光だけではありません。
音。
匂い。
肌ざわり。
人との距離感。
たくさんの情報を受け取りながら、
私たちは毎日暮らしています。
周囲の誰かと
違う感覚を持つこともあります。
でも、それは
「わがまま」でも、
「気にしすぎ」でも、
「我慢が足りない」でもありません。
身体や脳が、
「少し負担が大きいよ」
と教えてくれているサインなのかもしれません。
鍼灸師として活動する中でも
そして
イノチグラスというメガネを
届けるようになってからも、
私たちは、
そんなサインをたくさん見てきました。
だからこそ、
無理をして慣れようとしなくてもいい。
諦めなくてもいい。
その人に合う環境や、
その人に合う方法を探してもいい。
そう思っています。
身体は、
ちゃんと理由があって反応しています。
その声を、
見落とさないでいてほしい。
それが、
また好きなものを好きだ
と言える毎日に、
つながることもあるのだから。
