学習障害と言われた小3男児の話|ある日のCiTTa
こんにちは、しほです。
鍼灸師でメガネ屋さん。
イノチグラス目育士。
東京・自由が丘の「はりきゆうCiTTa」を拠点に、
鍼灸と視覚の両面から、目・脳・身体を調えるご提案をしています。
「障害という言葉は、本人に聞かせたくない。」
その日、
お母さんが最初に私たちへお願いしたことでした。
新年度になり、
担任の先生から
「学習障害の可能性も考えてみませんか。」
とお話があったそうです。
授業中の様子。
提出された宿題。
文字のバランス。
計算。
読み上げ。
集中力。
先生の気づきを
丁寧に説明してくれました。
でも、お母さんにとっては、
あまりにも突然のことでした。
障害という強い言葉に
ただひたすら戸惑ってしまったそうです。
勉強は苦手。でも、本は大好き。
学校の勉強は、
あまり得意ではありません。
すぐ飽きてしまう。
授業も落ち着きがないと言われる。
でも、
昆虫の本。
歴史の本。
好きなことになると、
夢中になって読み続けます。
読んだ内容を、
興奮しながら家族へ話してくれる。
だからお母さんは、
「勉強が苦手なんじゃない。」
そう感じていました。
「サングラスじゃなくて、メガネ?」
先生は、
地域のコミュニティを紹介してくれました。
特性を持つ
あるいは可能性がある子どもの親たちが
情報交換する場でした。
まずは親自身が知ることから
はじめました。
そこで出会ったお母さんたちから、
運動教室。
ビジョントレーニング。
様々な取り組みを教えてもらったそうです。
その中の一つが、イノチグラスでした。
お子さんは
紫色のサングラスをかけてました。
特性や個性を持つ子どもたちのために
開発されたメガネなんだと
教えてくれました。
サングラスじゃなくて
メガネ???
「視力が悪いだけが、
見えづらい理由じゃないらしいよ。」
どういうことだろう?
CiTTaへ来てくださいました。
遊びの時間が、観察の時間。
この日は、「検査」をしませんでした。
けんじくんと一緒に
お絵描きをしたり。
お相撲をしたり。
おしゃべりをしたり。
私はその傍らで
お母さんのお話を伺いました。
遊びながら、
どんなふうに世界を視ているのか。
どんな場面で身体が反応するのか。
そんなことを、
一緒に観察していきました。
すると、
少しずつ見えてきたことがありました。
「片足けんけんできる?」
「あんま上手じゃないけど・・・」
けんじくんが先にやってみせると
一緒に真似してくれますが
姿勢が崩れてしまい
なかなか前に進めない。
だからすぐ諦めちゃう感じ。
片足けんけんに誘った理由
私たちの目は、
光を視て、映像化するために存在します。
そして
受け取った光の情報は、
姿勢やバランス、
身体の動きにも影響します。
苦手な光の前では
姿勢が崩れやすい傾向があります。
また、なんとか良い姿勢を維持しようと
身体がエネルギーを余分に使ってしまう。
今回は
カラーレンズ+片足けんけん
遊びながら
どの光が身体が上手に使えるか
探していくスタイルにしました。
お子さんだけではなく
大人も一緒。
何に困っているか。
何がしたいけれどできないのか。
一緒に探して、
いろんなスタイルを提案します。
「身体がどの光なら頑張らなくていいのか。」
このロジックは、
東北大学との共同研究で発表された研究結果として、
国際科学誌 Scientific Reports に掲載されています。
「だって、こっちの方が見やすいもん!」
「よーし!
仮面ライダーごっこしようぜ!」
イノチグラスの
カラーレンズは
戦隊モノヒーローみたい。
けんじくんがそう誘ってみると
ノリノリになってくれました。
「どのライダーに変身する?」
赤・青・黄・緑・グレー・ブラウン
カラーレンズを並べました。
「これ!」
黄色を選びました。
黄色のカラーレンズをかけて
「変身!」
けんじくんが声をかけるよりも早く
ぴょんぴょん片足けんけんで
進んでいく男の子。
みんな、びっくり。
お部屋の端っこまで行って
また戻ってくる。
お母さんも
あまりの変容に
お口あんぐり。
他のカラーレンズも試してもらう。
赤はそこそこ上手。
他の色は、カラーレンズがないときと変わらない。
「赤と黄色、混ぜたらオレンジ!」
混ぜたの試してみる?
けんじくんが尋ねたら
やりたい、やりたいと大はしゃぎ。
「だって、こっちの方が見やすいもん!」
その後は
苦手な方な軸足に変えて
すいすい片足けんけん。
片足けんけん祭り。
イノチグラスづくりは
毎回うれしい
サプライズがいっぱいあります。
遠くを視る、近くを視る。
「これ、面白いよ!
ママもやってみて!」
ママの得意なカラーは赤でした。
ひとしきり盛り上がったあと。
「メガネ、かけてみたい?」
けんじくんが男の子に尋ねました。
「うん、やってみたい!」
「じゃあ、ちょっとお目目のこと
調べてみてもいいかな?」
「いいよー!」
学校で行われる視力検査は、
遠くを視る力を確認する、
とても大切な検査です。
黒板を見るためには、
欠かせない検査です。
一方で、
私たちの生活は
近くを視ることも大切です。
学校生活では、
教科書。
ノート。
プリント。
近くを見る時間の方も、
長くあります。
私たちは、
遠くがどれくらい見えるか
という能力だけではなく、
両目を同時に使って視る
両眼視機能も観察しています。
視線の癖、斜位
この男の子は
近くを視るときだけ
斜位があることがわかりました。
斜位とは、
左右の目が向こうとする方向に少し癖があり、
普段は脳がそのずれを調整して
一つの映像として見ている状態です。
だから、
文字を読むこと。
書くこと。
続けること。
その一つひとつに、
知らず知らずのうちに、
たくさんの力を使っていたのかもしれません。
それが、
斜位を調整するプリズムレンズと
オレンジ色のカラーレンズで
スムーズに目が動くようになりました。
2回目の「見やすい!」
オレンジ色のカラーレンズをかけると、
男の子は、
「見やすい!」
と笑いました。
お母さんに詳しいご説明をする間、
男の子は
リュックサックから
何やら取り出しました。
学校の宿題みたい。
淡々と進めていきます。
途中、
私たちの記録のために、
テストフレームを外してもらいました。
声をかけたことで
集中力が削がれたのもあり
宿題はストップ。
大好きな歴史の本を開いたり、
足をぶらぶらしながら
CiTTaの中を歩き回ったり。
しばらくして、
もう一度テストフレームを渡すと、
また歴史の本へ戻る。
でも、すぐに
「続きやる!」
そう言って、
自然と宿題へ戻っていきました。
書いている文字をみて
目配せで隣のお母さんに合図を。
さっきは
部首とへんのバランスが
乱れていたのが
整っています。
お母さんが
立ち上がって
わたしの隣へ
「いつも、答えを書く時
枠からはみ出してるのに」
お母さん
少し涙ぐんでいました。
学校の検診のみで眼科は受診したことはないとのこと。
まずは眼科を受診してみませんか?と提案しました。
その後、眼科の先生と連携しながら、イノチグラスを納品しました。
「視生活」もっと楽に視る、という選択
多くの人が表現する
「視力は大丈夫」
「ちゃんと見えてるよ」
は、
遠くが視える
が基準になっていることがほとんど。
でも
実際は
近くを視るとき
その裏には
頑張って視ている人が多い。
この事が
いろんなお困り事に
繋がっている人は
あらゆる世代にいます。
老眼ゆらぎ世代だけではありません。
子どもたちにも、
あるんです。
だからCiTTaは、
もっと楽に視る。
そんな視生活を、一緒に育てています。
