「整える」より前に、ただ書いてみる時間
年度末。
やることが、いつもより少し多い。
いや、「少し」では足りないくらいかもしれない。
頭の中で、あれもこれもが重なって、
気づけば、どこから手をつけていいのかわからなくなっていた。
さすがに、このままではまずいな。
そんなふうに思った朝。
コーヒーを片手に、ノートを開いた。
思いつくままに、書いていく。
順番も、きれいさも気にせずに、
ただ、頭の中にあるものを外に出していく。
書いて、書いて、少し眺めてみると、
あれ、と思う。
意外と、やることは多すぎないのかもしれない。
少なくとも、「ぐちゃぐちゃ」ではなくなっている。
ひと呼吸おいて、ノートを見返しながら、
どこから始めようか、と静かに考える。
さっきまでの焦りとは違う、
少しだけ落ち着いた感覚の中で。
ノートに書き出したあとの、この感じ。
すっと風が通るような、あの軽さ。
何度も助けられてきたな、と思う。
朝に書くノートは、これからの一日を整えてくれる。
夜に書くノートは、ほどけていくような安心をくれる。
どちらも違って、どちらも好きだ。
少し前までは、大きめのノートを使っていたけれど、
最近は、小さめのものを持ち歩いている。
思いついたときに、すぐに書けるように。
万年筆で書く時間も、ささやかな楽しみのひとつ。
黒ではなく、ブルーブラックのインク。
ほんの少しの違いだけれど、
その色を見ていると、心が静かに整っていく気がする。
紙とペンの相性もあって、
「あ、書きやすい」と感じる瞬間に出会えると、
それだけで少しうれしくなる。
「書く」ことは、
何かをきれいにまとめるためではなくて、
ただ、今の自分の中にあるものに、そっと触れる時間なのかもしれない。
整っていなくてもいいし、
答えが出なくてもいい。
ただ、そこに置いてみるだけで、
少しだけ呼吸がしやすくなる。
もしよかったら。
いま、頭の中にあるものを、そのまま書き出すとしたら、
どんな言葉が並ぶだろう。
その中で、ひとつだけ手を伸ばすとしたら、
どれになるだろう。
答えを出さなくてもいいまま、
今日も、ノートを閉じる。
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