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『20歳のソウル』を読んで、残った音。

「きたぁー!! 降りてきたぁ!!」

娘たちが、叫ぶ。

両手は祈りの形のまま。

タイブレーク。

夜の球場。

寒いのに、
みんな顔が真っ赤だった。

負けた。

でも、

「ほんといい試合!!」

を、ずっと言っていた。

3年前。

娘たちと見た、
高校野球。

あの日のことを、

『20歳のソウル』を読みながら、
何度も思い出していた。



この本は、

市立船橋高校吹奏楽部の
浅野大義さんの実話をもとにした
ノンフィクション。

大義さんは、
20歳で亡くなった。

「音は消える芸術なのに、
人の中に残り続ける」

吹奏楽の本質に気づけた、
この作品のいちばん美しいところ。

体が朽ちても、
何かが残る。

それは音楽だけじゃなくて、

誰かが誰かにかけた言葉も、
同じなんだと思う。

「ひとりの人間が生ききる」

そんな物語として読んでいた。

でも、

彼の人生だけじゃなかった。

お母さんの人生も、
生きていた。

繰り返す闘病生活。

肺の腫瘍再発。
骨髄への転移。

先生の説明のあと、

お母さんは、

「お母さんがついてるよ」

と言った。

たぶん、

飲み込んだ言葉の方が、
ずっと多い。

ふぅーと、
息をはいたワタシ。

本の中に、

「人は体より先に
心が死ぬのか。

それとも逆なのか」

という問いがあった。

答えが書かれていないからこそ、
ずっと残る。

音は消える。

でも、
人の中に残る。

体は朽ちる。

でも、

「お母さんがついてるよ」

は、残る。

大義さんが
野球部のために作った
応援曲「市船soul」も、

たぶん、
同じ場所にある。








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