筆者、セブンスターに回帰す——タバコofタバコの凱旋
悪夢を見た。
奥さんが何かの記事で賞を取り超豪華ホテルに宿泊するも、ひょんなことからバスローブ姿で街中に放り出され、スマホもなくホテルに帰り着けないまま裸足で街中を彷徨う夢だった。
親族纏めて招待されていたので、今度こそ離縁だと絶望した。
と、夢から醒めて本当に安堵したのだが、安堵と共に強烈にタバコが吸いたくなった。
手元にはサブ用のプルーム・テックPlus with2が常備されているのだが、そういうまがいものではない、本物のタバコを欲した。
Peace lightの旨さに驚いていた筆者であったが、ここはガツンとセブンスターが吸いたくなって、子乗せの電動アシスト自転車を飛ばしてコンビニにいそいだのであった。
(↓Peace lightの美味さに感動した筆者)
買ったタバコはセブンスターソフト。
筆者が最も長く吸っていたタバコである。
20歳頃からなので20年以上の付き合いになる。
最早友と言っても差し支えない。
女の子に振られて泣きながら雨の中走って帰った夜も、最初の離職後に再就職が決まらず絶望した朝も、結婚式の夜に父親と二人で初めて結婚観について深く語ったホテルのバーでも、傍にはセブンスターがあった。
とまあ、筆者にとってはタバコのスタンダードがセブンスターなわけだが、これを吸いたくなったわけである。
それくらい"終わった"感の強い夢だった。
起きて心底安堵した。
さて、ダッシュで買いに行き帰ってきて、封を切る。きちんと封の「入」のところからぺりりと破き、一本取り出す。
火をつける前に願いタバコ(箱に残ったタバコの一本を逆向きに入れ直し、最後まで残すことで願掛けをする)もして、どうか夢の様なことが起こりません様にと祈りながら火をつける。
美味い。
口内にじょわっとタバコの味が広がり喉に懐かしいキックがくる。
肺にしっかり溜め、吐き出すとなんともいえない「タバコを吸っている満足感」が溢れてくる。
セブンスターよ、やはりお前は日本タバコの王だ。その吸い味にある雑味や酸味、決してスムースではないが呼吸器官の全てをざらつく手で撫でていく様な存在感、唯一無二だ。
筆者の魂は王の凱旋で深く癒された。
妻がまだ起きてこない時間に急いで買いに行って良かった。最近「タバコ買ってくる」と家を出ると嫌な顔をされる様になってきたことは図太い筆者でも少し気になっている。
なんて言いながら一緒に買ったクーリッシュのバニラ味をちゅうちゅうしながら本稿をしたためた次第だ。
タバコにはそれぞれキャラクターがあり、それは強烈な味と香りでその人の人生に紐づいている。
読者にもきっと、なんて事ない日常の中に、人生に深く結びつき、それこそが無為な死への旅路を意味のあるものにしている"何か"があるのではないだろうか。
タバコは無駄だし体には悪いが、人生を味わうパートナーを得るという意味では、それくらいのコストは支払ってもいいのでないかと、禁煙運動が盛んな社会の片隅で思う筆者であった。
夢を見るのと同じくらいに、自分を慰める自由ももう少し認めてほしいものである。
