ピクミン大戦争
息子がピクミンにハマっている。
まだ2歳だし、どうせゲームとかやらないよね。大人が楽しむために買っちゃお。
そんな軽い気持ちでニンテンドーSwitchを迎え入れたのが、すべてのはじまりだった。
いままでプラレールや砂場で遊んでいた彼は、初めてのゲームにすこぶる興奮し、「ハハ〜ン、大人はこの遊びを隠していたのか。許せん。」という顔をしていた。
その日から息子のあたまのなかはピクミンで埋めつくされ、毎日ピクミンの主題歌(?)を歌うようになった。
赤ピクミンは火につよい〜
青ピクミンはおぼれない〜
このかわいらしい歌を数分に一回熱唱し、ピクミン5色それぞれの強みを記憶していく。
だんだんとエスカレートしていって、僕と妻の重要な会話をオペラ歌手さながらの腹からボイスでさえぎったときには、
「ちょっといまピクミンしないで」という聞いたことのない叱り方で制止した。
そしてついには朝起きての一言目が「ピクミンしたい」になり、長らくレギュラーを死守していた「おはよう」の立場さえも奪った。
そんなピクミンマイライフな息子と遊んでいると、こんな提案をされた。
「パパ、ピクミンやって」
ん?いまはピクミンのゲームないよ?
「ぼくがオリマーやる」
「パパはピクミンやって」
ピクミンやって?…とは?
現実にて??
戸惑っていたら、息子がけわしい顔になってきた。やばい。
とりあえず見よう見まねでピクミンを再現しなければ。
手をうえに挙げ、ワカメのように揺れてみる。鳴き声とかはよくわからんので「ピユー」みたいな音を出しておいた。
おそるおそる息子の顔を見ると、目をキラキラさせて「ピクミンだ!!!」と叫んでいた。よかった。
そうして息子がオリマー(主人公)になりきり、僕(ピクミン)がうしろについていく。オリマーの指示により、ぬいぐるみやイスを指定の場所に運ばされる。
しばらく経ったころ、目の前に妻があらわれた。
すかさずオリマーが「怪獣だ!」と言い放つ。
妻は察しがいいので、すぐに怪獣になりきりガオーッと襲ってくる。
「いけ、ピクミン!」
オリマーがこちらに指示を出す。
しかたなく僕は揺れるワカメで妻のほうへ向かう。
「怪獣が勝つ」なんていうバッドエンドは迎えちゃダメなので、妻はできるだけコワイ顔をして、よわよわしい攻撃をしてくる。
僕は両手を挙げたワカメ状態なので、なかなか力を発揮できず、立ち往生している。いい大人がふたりで何をしているのだろう。俯瞰で見たら負けだ。
息子はそれをみて「なんで勝てないんだ…」と悔しがっている。なぜお前はそこまで熱くなれるんだ。
最終的には息子が「すごいつよいパンチ」を繰り出して勝った。オリマーにそんな底力があったなんて。
そうして怪獣をロケットまで運び、ピクミンの新しいタネが植えられた。
オリマーが「タネ抜きたい」というので、妻がタネ役をやる。
わざわざ地中に埋まったようなポーズをして、オリマーにスポンッと抜かれ、妻もピクミンになった。
そこからおよそ30分間、目的もなく走りまわるオリマーの後ろを、2体の揺れる男女がついていくこととなった。
ーーー
表紙とアナザーカットたち↓



⌇ 絵 えりちゃん(妻)
✎ 文 しみさん(夫)
夫婦で絵本をつくるのが夢です。
ほぼまいにち日記のようなエッセイを書いています。
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